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ハマスVSイスラエル 衝突の真実

WiLL 2014/9/2(火) 16:46配信

 今回のイスラエル軍とハマスとの衝突はハマスがヨルダン川西岸地区でイスラエルの若者三人を誘拐、殺害したことがキッカケとされているが、本当の原因はエジプトの内紛とする見方も出ている。
 ガザ地区を制圧しているハマスはエジプトのムスリム同胞団から枝分かれした組織だ。
 しかし、ムスリム同胞団がエジプト軍のクーデターによって倒され、ハマスと関係があったモルシー大統領(当時)は逮捕された。エジプト軍はガザ地区との国境を封鎖し、経済的にも、軍事的にもハマスを制圧した。
 それゆえ、ハマスがイスラエルに向けロケットを打ち、国際社会の注目を集めたことを、ワシントンポスト紙は社説で、
「ハマスは拳をイスラエルに向けたが、その視線はエジプトに向けられている」
 と解説した。
 仲介役であるエジプトのシシー大統領はイスラエル以上にハマスを嫌っている。そのためエジプトが作成した停戦案には、イスラエルに有利な条件だけが盛り込まれていた。もちろんハマスは停戦に応じなかった。
 停戦を急いだアメリカのケリー国務長官は、イスラム保守派を支えるトルコとドバイに停戦の交渉をさせようとした。
 しかし、それはイスラム保守派をある意味認めることになるため、イスラエル側からはもちろん、エジプトやサウジやヨルダンなどの親米国から猛反発を受けた。
 現在、仲介役はエジプトに戻り、なんとか七十二時間の停戦にこぎつけ、停戦期間を延ばしながら交渉を続けている。
 今回の衝突で、ハマスとイスラエルは、お互いにポイントを稼いだと思われる。大規模な空爆を受けてもロケットを発射することができたハマスは高い戦闘能力を見せつけた。
 これによってエジプトは、ハマスが提示した停戦条件の一つである「エジプトとの国境開放」を受け入れざるを得ないだろう。
 一方、イスラエルも密輸などに使われていたガザ地区とイスラエル周辺に建設された地下トンネルをほとんど破壊し、ネタニアフ首相の支持は大きく延びた。
 ダメージを受けたのは、中東との外交に失敗し続けるアメリカと、何の役にも立たなかった親米派のサウジアラビアとヨルダンだ。パレスチナとイスラエルの対立も中近東同様に穏健派の力が弱まっている。
 今後、戦争は一層激しくなるだろう。

ギャルマト・ボグダン

最終更新:2014/9/2(火) 16:46

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