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産経スクープ「吉田調書」の衝撃【門田隆将】

WiLL 2014/9/5(金) 21:16配信

どこを読んでも出てこない「命令違反」

なぜ朝日新聞は、ここまで日本人を「貶(おとし)めたい」のだろうか。私は、産経新聞が入手した「吉田調書(聴取結果書)」の全文を読んで、溜息しか出てこなかった。
 産経新聞が八月十八日付紙面で報じた内容は、驚くべきものだった。予想していたとはいえ、朝日が報じた「職員の9割が所長命令に違反して撤退した」という内容は、調書のどこを読んでも「出てこない」のである。
 従軍慰安婦報道につづいて、「吉田調書」でも、朝日新聞は“事実”をかえりみず、ひたすら原発事故の最前線で闘った現場の人々を「貶めただけだった」のだ。
 朝日新聞は五月二十日付の一面トップで〈所長命令に違反 原発撤退〉、〈福島第一 所員の9割〉という大見出しを掲げ、二面でも〈葬られた命令違反〉と追い打ちをかけ、所長命令に違反して現場から東電所員の九割が逃げたことが吉田調書によって明らかになった、と報じた。以来、三カ月。産経新聞がついにその「吉田調書」を入手し、私はコメントを求められた。吉田調書の全文を手に取らせてもらった私は、読みすすめながら言葉を失い、最後は背筋が寒くなった。ここまで“悪質な報道”をおこなう新聞が現に存在することに、本当に怖くなってしまったのだ。
 しかし、五月二十日からの朝日の大キャンペーンによって、すでに世界のメディアは、「これは、日本版セウォル号事件である」、あるいは「原発事故の際、日本人も現場から逃げ去っていた」と報じ、今ではそれが完全に定着してしまっている。従軍慰安婦の強制連行問題と同様、事実と異なる内容によって「日本人を貶めること」に朝日は成功したのだ。
 私は、拙著『死の淵を見た男』(PHP)で、故・吉田昌郎氏に取材し、同時に九十名に及ぶ原発の職員たちに話を伺った。福島第一原発(1F)で起こった出来事は、日本の歴史に残さなければならないものであることは言うまでもない。その中で、名もない現場の人たちがどんな思いで、どう闘ったのか、その真実にできるだけ迫った。家族をはじめ、守らなければならない人々を持つ現場の職員たちが、「自分の死」を見つめながら必死に闘ったことに私の心は震えた。自分に果たしてこれができるのだろうか、と。
 その人々に感謝することはあっても、「貶めたい」という思いを抱いたことはない。しかし、朝日新聞は違うのである。

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最終更新:2014/9/6(土) 12:04

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