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ノーベル賞三人受賞、しかし、日本の科学教育は大丈夫か【西岡昌紀】

WiLL 2014/11/21(金) 18:33配信 (有料記事)

日本の科学教育の水準の低下は深刻

「いい顔してるわ」と、その患者さん(女性)は言った。テレビのニュースが、今年のノーベル物理学賞を受賞した三人の日本人物理学者(赤崎勇、天野浩、中村修二の三氏)の一人、天野浩名古屋大学教授の表情を映し出している時のことだった。私の病院の夕方の病棟で、テレビのニュースが今年のノーベル物理学賞を受賞した三氏を取り上げていたのだ。
 そう言えば、と私は思った。これまでノーベル賞を受賞した日本人科学者の多くは皆、いい顔をしていた、と。
 人間の精神生活は、その人の顔に出る。「自分の顔に責任を持て」と言ったのはリンカーンだったが、人間の顔は、その人間が生きてきた人生の道程を恐ろしいまでに映し出す精神の鏡である。天野氏をはじめとする今年のノーベル賞受賞者たちも、例外ではない。
 それぞれの受賞者の生い立ちと生きざまは様々だが、テレビのニュースを見ながら、私は一人ひとりのこれまでの人生が、それぞれの顔に映し出されているような気持ちがした。そして、その一人である天野浩氏のこれまでの生きざまを知った時、私はその患者さん(女性)の炯眼に驚かされたのだった。
 ノーベル賞について、いろいろ議論もあることは承知している。ノーベル賞受賞者が科学界で過度に政治力を持つことの弊害など、いろいろな議論があることは、一臨床医に過ぎない私も知っている。また本来、個人やグループに対して与えられる賞であるノーベル賞が、国に対する賞のように受け止められて過剰なナショナリズムに結び付くことも良いことだとは思わない。だがやはり、日本人科学者がノーベル賞を受賞することは嬉しい。
 広島の土砂災害や神戸での幼女誘拐殺人事件、そして御嶽山の噴火によるあまりにも多くの人々の死といった暗く、悲しいニュースばかりが続いたあとだっただけに、今年のノーベル物理学賞が三人の日本人物理学者に与えられたというニュースは、私の心に灯りをともしてくれる朗報であった。
 しかし、である。日本人物理学者たちがノーベル賞を受賞したというこの嬉しいニュースを聞きながら、私は日本の科学の行く末が心配でならなかった。本文:17,725文字 この記事の続きをお読みいただくには、WiLLプレミアム on Yahoo!ニュースの購入が必要です。

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西岡昌紀

最終更新:2014/11/21(金) 18:33

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