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凄みが出て来た安倍晋三~岸信介のDNA~【大下英治】

WiLL 2015/1/5(月) 14:51配信 (有料記事)

泥棒にも優しかった安倍晋太郎

 安倍晋三という政治家を考えるうえで外すことのできない要素が三つある。一つは、彼の体に流れる「悪党」と「善人」のDNAである。
 安倍のなかには二つのDNAが流れている。最高の善人・安倍晋太郎と、最高の政治的悪党・岸信介のDNAだ。晋太郎の善人ぶりを示すこんなエピソードがある。
 晋三が小学四年生の時、家に泥棒が入った。泥棒は玄関を開け、そこにかけてあったコートを盗もうと手を出した。が、一人、家で留守番していた晋三は現場に遭遇。「ドロボー!」と叫び、驚いた泥棒は何も取らずに逃走した。
 晋三は夜、帰宅した晋太郎にそのことを得意げに話したそうだ。晋三は褒めてもらえると思ったが、晋太郎の反応は違った。
「晋三よ、うちにはあんなコートいっぱいあるじゃないか。玄関まで入ってきて盗もうとするなんて、よほどその人は困っていたのだろう。そういう時は見逃してあげなさい」
 反対に、岸信介ほど政治家として悪党だった者はいない。だが悪党だったからこそ、安保改正など大きな功績を残すことができたとも言える。
 私は安倍が初めて総理になった時、ある記事で「爽やかな悪党たれ」と書いた。「悪党たれ」とは「強かさを持て」という意味だ。だが第一次安倍内閣では、善人のDNAが裏目に出て、短命に終わることになる。
 第一次の失敗はまず人事にあった。安倍はノンキャリアである井上義行を秘書官に据えた。長く秘書官を務めていた人物が政治とカネの問題でマスコミに叩かれていたことが井上起用の背景にはあるのだか、これが不運だった。
 なぜ、井上がダメだったか。安倍にとって朝日新聞は天敵だが、井上はあえて朝日記者を特オチさせるようなことをした。親分は朝日を嫌っているから、もっと恥をかかせれば親分は喜んでくれるだろうとつまらないお追従の心が働いたのだろうが、これはよくない。
 秘書官という立場なら、親分の敵とも裏では友好的に付き合うくらいの度量が必要なのだ。敵はなるべく排除せず、手懐けたほうがいいからである。彼はそこがわかっていなかった。本文:8,156文字 この記事の続きをお読みいただくには、WiLLプレミアム on Yahoo!ニュースの購入が必要です。

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大下英治(作家)

最終更新:2015/1/5(月) 17:49

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