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「小保方殺し」9つの疑問

WiLL 2015/2/5(木) 14:08配信 (有料記事)

ES細胞でSTAP細胞を捏造できるのか?

 昨年十二月二十六日、理研は一連のSTAP細胞問題について、ひとつの「結論」を出した。要約すれば、数カ月間の検証実験の結果、小保方晴子さんらが『Nature』誌に発表した論文で報告したような現象全体を再現することはできなかった。
 そして、STAP細胞として小保方晴子さんや若山照彦教授らが報告した細胞はES細胞であった可能性が極めて高く、それも故意にES細胞を混入してSTAP細胞なる細胞を捏造した疑いが濃厚である、というのが、その要旨である。
 この発表を受けて、新聞、テレビは「STAP細胞はES細胞を使って捏造された物である」という見方をほぼ確実な結論であるかのように報じた。一方、小保方晴子さんは、筆者がこの原稿を書いている二〇一五年一月十五日の段階では、沈黙を続けている。
 小保方さんが理研を退職し、理研の処分に対して異議を唱えていないことから、「小保方さんは捏造を認めた」と受け止める人々も多い。だが、待ってほしい。これが「結論」なのだろうか?
 私は昨年四月、『WiLL』六月号に寄稿した記事で二つのことを指摘した。

 (1)STAP細胞が存在するかどうかは分からない。
 (2)小保方晴子さんがSTAP細胞の存在を捏造した証拠は示されていない。

 この(1)(2)は、挙証責任の所在が違うのに挙証責任が混同され、(2)についてまで小保方さんに挙証責任が求められていることの誤りを指摘した。そして、小保方晴子さんを犯罪者のように扱うマスコミの報道は魔女狩りのようだ、と批判した。
 それから時間が経ち、十二月二十六日の発表となった。
 では、現在はどうか? この間に、笹井芳樹氏の自死という悲劇と、監視カメラ下での検証実験の終了という大きな二つの出来事があった。そしてさらに、マスコミやインターネット上で様々な議論が重ねられた。当然、当時と状況は違う。
 しかし、この二つの異なる問題、
 (1)STAP細胞は存在するか?
 (2)小保方晴子さんは、存在しないSTAP細胞を不正な方法によって捏造したのか?
 に対する私の判断は、いまも同じである。即ち、どちらについても挙証責任は果たされていない、と私は考える。その理由は以下の本文で述べるが、私が述べるのはあくまでも「疑問」だけである。
 私は、STAP細胞が存在するかしないかというような高度に専門的な科学上の問題については、昨年の『WiLL』六月号の記事と同様、いまも判断を下すことはできない。これは科学の問題であり、研究者たちが実験を繰り返すことによってしか検証し得ない問題だからである。
 これから述べるのは、「小保方晴子さんがES細胞を使ってSTAP細胞なる物を捏造した」とする見方に対する私の疑問である。

●疑問1 ES細胞でSTAP細胞を捏造できるのか?

 疑問の第一は、ES細胞を使ってSTAP細胞を捏造することがそもそも可能なのか? という疑問である。
 復習すると、ES細胞は受精した受精卵が細胞分裂を行い、増えた細胞のなかから得られる細胞である。それは、受精卵の細胞分裂で生じた初期胚の一部である。それ(ES細胞)を他の個体の受精卵に混入すると、その受精卵の細胞と混在する形で、胎児の体を形成する過程に加わることが起こりえる。
 しかしES細胞は、胎児と母体を繋ぐ胎盤の形成には加わらない。ES細胞は、他の受精卵から生じた胎児の体の一部になっていくことはあっても、胎盤の一部にはならないのである。本文:13,635文字 この記事の続きをお読みいただくには、WiLLプレミアム on Yahoo!ニュースの購入が必要です。

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西岡昌紀【内科医(神経内科)】

最終更新:2015/2/5(木) 14:08

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