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橋下徹大阪市長の言論封殺を許すな!【藤井聡】

WiLL 2015/3/9(月) 15:25配信 (有料記事)

どこに事実誤認があるのか

 本年一月末頃から二月にかけて、橋下大阪市長と私、藤井との間のいわゆる大阪都構想(以下、「都構想」と呼称)を巡る「バトル」が、ネット、メディア上などで取り上げられた。事の発端は、当方が購読者三万人程度の小さなネットメディアにて、「大阪都構想:知っていてほしい七つの事実」なる短いコラムを本年一月二十七日に公表したことだった。
 その記事の内容についてはのちに簡単に解説するが、その論調は至って淡々としたものだった。そもそもこの記事は、「賛否はさておき、(投票)判断に向けて大切な、いくつかの『事実』の情報を提供したい」と明記してあるとおり、「都構想」を頭ごなしに否定するようなものではなかった。
 にもかかわらず、大阪維新の会からは幹事長(つまり大阪府知事)名義で、当方に対して、当方の主張に「事実誤認がある」として「激しい憤りの抗議」を表明すると同時に、党代表(つまり大阪市長)と「公開討論」を要請する文書が送られてきた。そしてその前後から、大阪市長のツイッターや記者会見等での当方に対する粘着質な罵倒(バカ、こチンピラなど)が繰り返された。
 挙げ句に、前の総選挙の前の総選挙のさらにその前の時点(二〇一二年)で、当方が公権力者、橋下市長の政治家としての資質を諷刺したインターネット動画を突然持ち出し(無論、都構想とは何の関係もない動画だ)、当方を激しく非難し、本学総長や国会にまで問い質すと宣言するまでに至った。
 このような状況下で、まともで理性的な討論ができるはずもない。「抗議」しながら申し入れる「討論」が冷静なものとなるはずもなかろう。やったところで橋下市長は、昨年、某会会長との公開討論の場に臨んだようなケンカ腰で対応することは必至だ。
 そもそも「事実誤認について激しく憤る」と言っておきながら、どこにその事実誤認があるのかについては一切指摘していない。これでは、討論などできるはずもない。
 しかも、「バカ」と罵った相手となぜ「討論」ができるのか。普通考えれば、バカには討論は無理なはずだ。
 すなわち、その公開討論の申し入れは、「討論」の名を借りた「ケンカ」の申し入れにしか過ぎなかったのである。それが(維新の会が公開討論開催の理由として述べた)市民に公正な判断を促す機会になろうはずもない。
 しかもそれは、こうした執拗な罵倒を繰り返すことで都構想の中身の議論を封じようとする、一種の言論封殺でもあった。
 それゆえ、筆者はその申し入れに応じず、かつ返答もしない旨の声明を、上記の理由とともにインターネットにて公表した。詳細はHP「権力による言論封殺には屈しません」(サトシフジイドットコム:http://satoshi-fujii.com/)を参照願いたい。
 なおその後も、橋下市長やその周辺のシンパの方々からは、予め上記声明で予告しておいたとおり(そして「どうぞご自由に」と奨励しておいたとおり)、「逃げた逃げた」と当方を罵倒する発言を続けているが、無論、筆者は取り合ってはいない。
 ただしこうした一件は、大阪を中心とした言論空間に大きな言論封殺の圧力を与え続けている。筆者は特に気にはしないが、こうした騒動を目にした「周りの方々」が、大変に萎縮してしまっているのである。
 事実、大阪のマスメディアでは表ではあまり語られていないものの、「都構想」についてのリスクやデメリットについて少しでも触れようものなら、上記のような激しい抗議が大阪市長・府知事、さらに大阪維新の会という公党側から激しく始められるのは、関係者ならば皆知っている公然の事実だ。
 マスメディアといえど一民間企業。こうした公権力者側からの激しい抗議に晒されれば、萎縮してしまっても当然だ。同じく、言論人やコメンテーターもまた、今回の筆者の例を見れば分かるように、激しいバッシングに晒される。これでは、都構想の賛否について自由な議論が成立するはずもない。本文:12,189文字 この記事の続きをお読みいただくには、WiLLプレミアム on Yahoo!ニュースの購入が必要です。

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藤井聡(京都大学大学院教授)

最終更新:2015/3/9(月) 15:25

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