ここから本文です

日本と台湾で「対中包囲網」を!【櫻井よしこ】

WiLL 2015/11/6(金) 20:00配信 (有料記事)

世界に衝撃が走った中国の南シナ海埋め立て

 私は東京で、シンクタンク「国家基本問題研究所」(国基研)を主宰しています。創設から間もない二〇〇八年二月に、私たち一行は台北を訪問しました。李登輝総統をはじめ皆さまにお目にかかり、日台双方の未来を念頭に有意義な意見交換をいたしました。国基研が最初の訪問先に台湾を選んだ理由は、日本にとって台湾がどれほど重要かという国家戦略上の判断に加え、日本と台湾の交流が、おそらく世界で最も温かい心の通い合いのうえに築かれているからであります。
 二〇一一年三月十八日にも私は「世界台湾人大会」にお招きいただき、この地を訪れました。三月十一日には千年に一度といわれるマグニチュード9の大地震と津波、続いて原発事故が東日本を襲いました。大混乱のなか、私は震災発生から一週間後に、当初の予定を短縮して台北を訪れました。そのときに目にしたのは、街角や店舗で、あるいはテレビで多くの台湾の方々が日本への支援を呼びかける姿でした。日本人として、どれほど有り難く思ったことでしょう。どれほど勇気づけられたことでしょう。
 二千三百万人の台湾の皆さまの心のこもった援助を、いまでも日本人は忘れていません。当時を思いますと、台湾の方々への深い感謝の想いでいっぱいになります。改めて、一人の日本人として心よりお礼を申し上げます。
 現在、日本も台湾も、歴史の大変化に直面しています。対外関係において、軍事介入を回避して内向きになりがちな米国と、力を背景に膨張し続ける中国、二大国の変化は、日本と台湾双方に計りしれない大きな影響を与えます。それだけに国基研は、台頭した中国の経済的、軍事的膨張とともに、米国が中国にどのように向き合うのかを、とりわけ注目してきました。
 国基研は、戦後の日本が安全保障を米国に依存し、自らの軍事力を憲法上、法律上、そして物理的に厳しく制限してきたことに疑問を持っています。私たちのシンクタンクは、日本を普通の民主主義の国として立て直すこと、そのために憲法改正を実現することを大きな目標のひとつとして出発しました。その問題意識は必然的に、米国との関係をどのように調整するのか、そのうえで中国とどのような関係を結ぶのかという課題に繋がります。
 とりわけ、わが国とは基本的に異なる価値観を掲げる中国の意図は、注意深く精査しなければなりません。その意味で、国基研が最初のプロジェクトとして中国研究を取り上げたのは自然なことでした。ちなみに国基研の研究は「対中国戦略研究報告書」としてまとめられ、二〇一二年二月に出版されました。
 同研究を通して改めて実感したのは、中国は戦術において柔軟である一方、長期戦略においてはぶれることがなく、設定した戦略目標は長い時間をかけても達成しようとするということです。
 一九四九年の建国から百年目の二〇四九年までに中華人民共和国が達成しようとしているのは、米国を凌駕する覇権国としての地位の確立であるという研究が、注目を集め始めました。民主主義国では、時の政権と民意によって国家の基本的かつ長期目標でさえ変更されることが珍しくありません。百年に及ぶ長期戦略を遂行し続けることなどは、なかなか考えられません。しかし、中国共産党一党支配体制の下では事情は全く異なることを、民主主義国は肝に銘じなければならないと思います。
 毛沢東が中華人民共和国政府を樹立して以来、大飢餓を引き起こした大躍進の時代であろうと文化大革命の時代であろうと、中国共産党が一貫して仮借のない軍事増強を図ってきたのは、「富国強兵」そのものが目的であるということです。
 軍事力が強まればその強さは外交力に反映され、強力な外交力は国を富ませるという思考回路を知り尽くした国が中国です。対照的に、軽武装で経済大国であり続けようとすること以外に国家目標のない国が、つい先頃までの戦後の日本です。しかしいま、日本は変わろうとしています。この点についてはのちに触れます。本文:18,092文字 この記事の続きをお読みいただくには、WiLLプレミアム on Yahoo!ニュースの購入が必要です。

  • 通常価格:
    308円/月(初月無料)
  • 会員価格会員価格:
    206円/月(初月無料)

サービスの概要を必ずお読みいただき、同意の上、ご購入ください。

Yahoo!プレミアム会員登録はこちら(月額498円)

櫻井よしこ(ジャーナリスト)

最終更新:2015/11/7(土) 14:25

WiLL

記事提供社からのご案内(外部サイト)

WiLL

ワック

2017年1月号
10月26日発売

特別定価800円(税込)

【総力特集】 さぁ、トランプだ 覚悟せよ!
トランプは天才奇術師ですな 渡部昇一
【特集】 自沈するセウォル号国家