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2016年教育業界激変! 大学改革でノーベル賞続出の理由

WiLL 1/8(金) 18:00配信 (有料記事)

日本が示した近代化の成功モデル

 日本人は、世界史において、近代日本が輝かしい存在として記憶されることに自信を持つべきだ。明治日本は、アジア人でも文明国でありうることを示し、戦後日本は、世界革命などしなくても経済成長で先進国になれることを証明した。
 世界から貧困も戦争もなくならないが、二十一世紀の今日、世界のだいたいの国で近代的な法の支配と人権の尊重、文明の恩恵に与る生活がそれなりに実現した。それが普遍的に可能だ、というモデルを世界に見せた日本人の世界史的な貢献は偉大だ。
 日露戦争の勝利が、インドなどアジアやアフリカの植民地の人々に勇気を与えたことはよく知られているが、トルコ、ロシア、中国(清)といった中進国を文明開化や憲政の樹立に向かわせたことはさらに大事だ。こうした国々では、近代化の必要性をいわれながら伝統に拘泥し、体制の不安定化を心配して、日本の文明開化のような西欧化を躊躇し、憲法の制定や国会の開設にも後ろ向きだった。
 近代日本を「和魂洋才」だから良かったと説明する人がいるが、維新直後の日本は大胆に文明開化を進めたことこそが特色であって、それが成功した明治中頃以降になってから伝統文化の良さを再評価し始めた。和洋折衷だったから成功したのではない。
「教育勅語」が出されたり、岡倉天心やフェノロサらが日本美術の再評価を進めたのはこの時期だ。それまでは「中体西用」を唱え、独自性にこだわる中国と日本が好対照とされたし、ロシアの漸進主義と日本の拙速が対比されもしていた。
 明治憲法は保守的だといわれるが、自由民権家が提案した憲法案は英仏でも現実に行われず、理想論としてのみ主張されていたユートピア的なものだった。それに対して、伊藤らは現実的ながらも十分に先進的な憲法を、欧米からやや背伸びといわれながらも世界の文明国に列するために制定したのだ。
 日露戦争での日本の勝利は、拙速と心配されながらも先進国たらんとした日本の、中進国で構わないと考えたロシアに対する勝利だった。これをみて、ロシア、トルコ、中国でも改革が始められたのであって、ロシア革命もトルコの国民革命も辛亥革命も、明治日本の成果に触発された結果である。
 また、第二次世界大戦後の世界にあっては、ソ連など東側陣営は世界革命を起こさないと第三世界の貧困は解決しないと主張し、広い支持を集めていた。しかし、日本が民主主義と日米同盟の下で大胆な貿易や資本の自由化という外圧を巧みに使いつつ、産業を強化育成し、高度経済成長に成功して先進国入りしたことは、市場経済の世界秩序を崩さなくても先進国への道が開けうることを全世界に納得させた。
 池田勇人首相が「所得倍増計画」を始めた一九六〇年は、アフリカ諸国が大挙独立し、ケネディ大統領が当選した年であり、米ソが宇宙開発競争を繰り広げ、東西冷戦の帰趨はなんとも予想しがたかった。日本は軍事面では東西冷戦における西側の勝利に貢献しなかったが、成功モデルの提示で十分に寄与したと胸を張ってよいのだ。
 日本が示した成功モデルに、韓国や台湾、さらには東南アジアが続いたことは、何世紀かあとの世界史の教科書で大きく扱われることになると期待してよい。
 一方、中国のように、経済だけ同じモデルによりながら民主主義は永遠に拒否するつまみ喰いの追随者については、それは日本が示した文明的な道でないことを糾弾していくべきだ。本文:10,942文字 この記事の続きをお読みいただくには、WiLLプレミアム on Yahoo!ニュースの購入が必要です。

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八幡和郎(評論家)

最終更新:1/12(火) 20:25

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