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規制委員会に対するIAEA評価の本当の意味

WiLL 1/26(火) 13:01配信

IAEA評価のホンネを探る

 国際原子力機関(IAEA)の専門家チームが、日本の原子力規制委員会(規制委)の体制、対応などが適切かどうかを検証する作業を終え、1月22日に暫定評価を発表した。
 専門家チームのリーダーを務めたフランス原子力安全局のフィリップ・ジャメ委員らは会見で、評価結果について1独立性及び透明性を体現した、権限が強化された規制機関の設置に係わる法的枠組みの構築や国家組織上の位置付けを行った2規制委が自然災害対応、重大事故対策、緊急時の対応や既存施設の安全性強化といった分野において、福島事故の教訓を日本の新たな規制の枠組みに迅速かつ実効的に反映させた―を「良好事例」としてあげた。
 その一方で、「評価対象となった分野のほとんどにおいて、改善のための勧告及び助言を提供した」として、具体例として次の3点をあげた。1規制委は、有能で経験豊富な職員の獲得や、教育・訓練・研究・国際協力を通じた原子力及び放射線安全に関する職員の力量の向上に取り組むべき2日本の当局は原子力施設、放射線利用施設に対する規制委の検査の実効性が担保されるよう、関連法令を改正するべき3規制委は全ての被規制者とともに、常に問いかける姿勢を養うなど、安全文化の浸透に向けた努力を強化するべき―と。
 こうした評価を受けて、メディアの中には前段部分を強調して「一定評価」との報道もあるが、今回示された評価内容で注目すべき点は後段部分にあると認識するべきである。

評価チームは本質的な問題を理解している

 専門家チームは1月11日から22日まで「総合規制評価サービス(IRRS)」と呼ばれる作業を行った。規制委はもちろん経済産業省、文部科学省など関係機関や団体、事業者からも聴取を実施。対応した関係者などからは「評価チームからは規制委の検査官の能力・知識不足、教育方法などに関する問題意識の高い質問が寄せられていた」「規制委は米国におけるNRC(原子力規制委員会)とINPO(原子力発電運転協会)のように相互補完関係の構築を目指しているようだが、規制側と事業者側とのコミュニケーションがうまくいっていないのではないかとの指摘があった」などとの声が聞かれる。つまり、規制委と評価チームとの共同会見、発表資料では、直接的な表現を意識的に避けた面も否めない。
 「改善のための勧告・助言」で最も重視しなければならないのは、規制委、その事務局、実働部隊といえる原子力規制庁の専門知識・体制の不足である。規制庁はあの手この手を使って、専門知識を持つ経験者の採用に取り組んでいるが成果はあがっていない。
 こうした背景には、例えば菅直人・元首相が新聞のインタビューなどで「政権が変わっても10基も20基も再稼動するなんてあり得ない。そう簡単に戻らない仕組みを民主党は残した。その象徴が原子力安全・保安院をつぶして原子力規制委員会を作ったこと」などと発言。規制委を恣意的に位置づける姿勢を変えようとしない動きがある点を無視できない。

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最終更新:1/26(火) 13:01

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