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驚きのハイプライス!“3万円電卓”は高いか、安いか?

@DIME 2月28日(日)12時10分配信

 なんと、3万円もする電卓があるらしい。電卓なんて、売れてないのになぜ今さら? …実はそう思っていた。だが、電卓は全世界で毎年、7000万台以上も売れているのだという。

 3万円の電卓、気になる、気になりすぎる。あぁ、一度キーを叩いてみたい…。

 @DIME編集部の心に染みた電卓と出会うため、メーカーへ突撃取材をしてみた。

■なぜ『S100』は3万円もするのか?

 3万円の電卓。その名はCASIOの『S100』という。

 電卓に3万円って、正直高すぎませんか? だって、百均で電卓が買える時代にそんな高級電卓の必要なんてあるのか? そう思うのが普通の考え方。なので、カシオ計算機の企画担当者とデザイナーに直撃してみた。「なぜ、『S100』は3万円もするのか?」と。

--なぜ『S100』を作ったのですか?

大平氏: 『S100』は“持つ喜び”をユーザーのみなさまに感じていただけるために、デザインチームと電卓の本質について見つめ直しました。

宇都宮氏:高級品といわれるモノ。たとえば万年筆などは100年経っても機能が変わらないけれど、所有する喜びは大きい。電気製品でもそういう喜びがあるんじゃないかと思っています。ただし、カシオ計算機では「使い勝手」は譲れない。デザインのための電卓ではなく、50年間作ってきた商品としてのポリシーはあるので、踏襲すべき伝統は守り、そこから新たなデザインを模索しました。

--電卓の本質とはどういうことですか?

宇都宮氏:まず、キーを連打してみて下さい。その後のディスプレイに表示する反応速度が、通常のモデルより速いんです。ほんの0コンマ何秒の反応の違いが気になるという、プロの細かな感性を大事にしています。

大平氏:それから、通常のモデルではキーの端を押すと、どうしても斜めにグニャっとしてしまうんですが、『S100』はV字ギアリンク構造を採用していて、キーの端を押してもストロークがぶれず、しっかり押せます。経理など、実務のプロはキーボードを見ずに入力する人が多いです。そういう方の誤入力を減らすことにもつながりました。

宇都宮氏:誤入力を抑えながらも、打ちやすくするためにキーはなるべく大きくしたい。ですが、基本となるのは、長年電卓を作り続けてきた上で最適なキーピッチと考えている、18mm幅です。

大平氏:さらに、ディスプレイは両面反射防止コーティングを施しています。通常のモデルの最上級型と比べても、映り込みの少なさがご理解できるかと思います。また、液晶も見やすくしたかった。なので、コントラストを高める工夫をしています。背景が紙のように真っ白で、文字が墨のように真っ黒だとコントラストは上がる。しかし、今回はそれだけではなく、“使う人の感性に訴える”ため、文字色を万年筆のようなブルーブラックにしました。

宇都宮氏:これまでは、液晶を大きくしたらギリギリまで文字を大きく入れる事が良しとされてきましたが、今回は大きくした分は“余裕”を感じさせる“空間”として活用しました。さらに、セグメント(数字などを表示するための菱形のバー)の間を詰めて、なるべく数字が繋がって見えるようにしています。

--外観のこだわりはどうでしょうか?

大平氏:今までのプラスチック筐体(ボディ)からアルミニウム合金を削り出したボディにしています。そして表面は手間がかかりますが、ヘアライン加工を施しています。さらに、ボディ外周にダイヤカットを施しています。すごく艶が出ているのがわかりますか? これはダブルアルマイト処理をしているからなんです。とにかく材料を一から見直し、ひとつひとつの工程の精度を高め、フラッグシップに相応しい、硬質感・重厚感を出すようにしました。

宇都宮氏:キーと筐体の隙間にリブが入っていないのが見えますか? 『S100』はV字ギアリンクのおかげで、キーがぶれずにストレートに押し込まれるので、キー自体が周りのアルミ筐体に削られるリスクが少ないのです。なので、ボディとキーの隙間を狭くするデザインに攻め込みました。

大平氏:それから、横から見てもらえばわかるのですが、通常のモデルは液晶部分が立ち上がっているんですね。キーボード部分の傾斜角が3°、液晶部分が8°というのが、カシオが長年の歴史で編み出した理想の角度だと思っています。しかし、『S100』の筐体はストレートになっていますが、キーボード部の傾斜角が3°、液晶部分は筐体部の傾斜角3°と内部傾斜角で8°を確保しています。

宇都宮氏:先行モデルでは、くの字になったモデルも試作したんです。でも、あえてストレートを選択した。それは、アルミニウム合金の切削で剛性を出すためにはストレートにする方が有利だという、技術面でのニーズもあるのですが、ストレートの方が見た目の安心感が強いです。これは感性に訴える部分だと思います。

--キーはペイントしているのですか?

大平氏:数字や四則計算、AC、Cなど使用頻度の高いキーは、金太郎飴のような2色成型になってます。ペイントや印刷だとどうしても、文字が消えてしまうことがあります。ですが、2色成型だと使っていく中でキーの表面が削れていっても文字が消えないんです。本体には5年間の保証が付きます。ヘビーユースされる方は毎日、ものすごい回数で計算されますが、その使用に耐えるという意味でも、性能劣化には極力対策を施しています。

宇都宮氏:裏側も見てもらえますか? ここは、滑らないように大型のストッパーを使っています。それからビスがなくなっているんです。というのも、埋め込み式の蓋で隠したからなんです。余計な蓋を増やしたくないので、ビスの個数も2か所に減らしました。そのため、ボディをスライドしてはめこむ方式に新設計しています。

宇都宮氏:3万円という金額は高級品の中では、高いとはいえない値段かもしれないです。世の中には5万円や10万円、そしてそれ以上の値段のモノも多いですから。でも、3万円が高いかどうかは別にして、不用意にビスが見えたりするのは“スキ”があると思うんです。それはダメだろうと思っています。

 開発している段階では社内でも「本当に作るの?」って言われることも多かったです(笑)。機能にしてもデザインにしても、そんなに突き詰める必要はあるのか? って。電卓の3万円は高いんじゃないかと。そう思うのが自然ですよね。ただ、突き詰めれば、欲しいとする人は必ず出てくるんだと、今回の『S100』で思いました。

■3万円の電卓は高いか? 安いか?

 機能やデザインの話しを聞いていると、何だかこの『S100』という電卓は特別なモデルに思えてくる。スキの無い工業製品は、やっぱり美しいし素晴らしい。

 3万円を電卓にかけられる人は、多くないかもしれないけれど、これを買えば、同僚に、取引先に自慢できることは間違いない。それと、一度使うと手放せなくなるはず。

 それにしても、3万円という価格。実に悩ましい。買えない値段じゃないけれど、“電卓に3万円”というのが贅沢なのも事実。あぁ、欲しい。できればプレゼントされたい…すっかり、カシオ計算機の“計算”にはまってしまったものだ。

文/中馬幹弘(ちゅうま・みきひろ)

@DIME編集部

最終更新:2月28日(日)12時10分

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