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発想の大転換――汚染土と原発廃棄物の貯蔵・処分にはこういう方法もある【金子熊夫】

WiLL 3/14(月) 20:18配信

山積みになった汚染土が入った黒い袋

 福島の浜通りの被災地を訪れるたびに、いやでも一番先に目につくのは、原発事故の汚染土が入った黒い袋(フレコンバッグ※1)が至る所に山積みになっていることだ。こうした仮置き場は福島県内に約1200カ所も設けられているという。これらの汚染土に含まれている放射性物質(主にセシウム※2)は低レベルで半減期も比較的短いが、政府の方針で、いずれ中間貯蔵施設に運び込まれ、そこで最長30年間保管されることになっている。
 ところが、肝心の中間貯蔵施設のための用地の取得が難しく、2000人以上いるといわれる地権者との交渉が難航しており、現時点で確保できた用地面積は全体計画の僅か1%程度だとか。このままのペースで行くと、施設が完成するのは数十年も先ということになり、福島復興の大きな障害となる。勿論経費も膨大で、大変なことになるだろう。

 そこで、放射線問題の専門家ではない筆者も、二年ほど前から、何かうまい解決策はないものかと一人で色々思案してきたのだが、昨年夏、ふとあることに気が付いた。日本は四方海に囲まれているのだから、海を何とか利用できないものか。とは言っても、海の中に放射性廃棄物を直接投棄したり処分場を造るのは論外で、そもそも「海洋投棄規制条約」※3という国際条約(いわゆるロンドン条約)ではっきり禁止されているが、この条約に抵触しない形で安全に処分する方法があるのではないか。

防潮堤にもなり、海洋も汚染しない

 実は、筆者は40数年前、外務省で初代の海洋・環境問題担当官の職にあり、歴史的な国連人間環境会議(1972年6月、ストックホルム)に政府代表として出席したが、その半年後ロンドンで開催された海洋投棄規制条約作成外交会議にも出席し、条文作りに直接関与した経験がある。
条約の目的は海洋環境の保全であり、「海洋投棄」の定義は、船で搬送して海に投棄するとか、人工島を造ってそこに投棄・貯蔵する行為を意味し、陸地から斜めに坑道を掘って海底下に埋設するのは含めなかった。同条約は、その後数回改正されたが、1996年の議定書では「陸上からのみ利用することのできる海底の下の貯蔵所は含まない」(第1条第7項 ※4)と明記している。
従って、例えば、三陸海岸あたりの入江や湾など(国際法上の「内水internal waters」)でなるべく遠浅のところに長い堤防を築き、陸地と一体化させ、その内側に廃棄物を埋め立てる。もちろん海水に溶けて出ないような特殊な工法で。そうすれば防潮堤にもなるし、海洋を汚染しないから漁業にも支障とならないはずだ。

 ついでに言えば――実は、こちらの方がもっと適応性が大きいのだがーー、長年懸案となっている再処理後の高レベル放射性廃棄物についても、従来国の方針では、ガラス固化体にして地下300メートル以深の安定した地層に埋設する計画だが、その用地の確保が難しく解決の見通しが立っていない。原発がいつまでも「トイレ無きマンション」と言われる所以だ。

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最終更新:3/14(月) 20:56

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