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「韓流ゴリ押し」と「空気の読めなさ」 2011年がフジテレビ凋落の分水嶺だった

デイリー新潮 3月24日(木)5時25分配信

■韓流びいきと言われて

 フジテレビが視聴率三冠王から転落し、現在に至るまで長い低迷が始まったのは2011年だった。

 そのきっかけの一つとして巷間よく言われるのが「韓流ゴリ押し」問題である。ネットを中心に、「フジテレビが韓流ドラマばかり放送して、韓流をひいきしている。反日的な内容の放送が多い」といった説が唱えられるようになり、同年には抗議デモまで行われた。いまだにこの説をを信じる人は多い。

『フジテレビはなぜ凋落したのか』の著者で、元同局社員の吉野嘉高氏は、この件についてこう解説する。

「あの頃、フジが韓流ドラマを多く放送していたのは、『経済原理』に従っていただけです。比較的安く放映権を買えるわりに、視聴率が良かった。

 そもそもグループには産経新聞があるくらいですから『反日』なんてありえません。

 ただ、問題はすでに若い人の間では、この説が『常識』と化してしまったことです。

 私が教えている大学生に、このような説明をしても、『元社員だから擁護している』と聞く耳を持たないのです。

 そして、フジテレビがこのような状況に対して丁寧に説明をして反論をしなかったことが、結果としてバッシングを強めてしまったのかもしれません」

■空気の読み違い

 吉野氏は、2011年以降の低迷の理由として「『楽しくなければテレビじゃない』の呪縛」も指摘している。視聴率三冠王を逃した翌年、フジテレビは「フジテレビらしさ」を取り戻し、本来の力を発揮するための改編に乗り出した。

 この時、同局の役員たちは一様に「楽しくなければテレビじゃない」の精神に戻ることを唱えている。言うまでもなくこれは、全盛期のフジを代表するコピーだ。

 しかし、ここにも見誤りがあったのではないか、というのが吉野氏の見立てである。

「東日本大震災を経験して日本の社会は明らかに“何か”が変わった。

 震災発生からまだ間もない時に、『楽しくなければ……』と謳う、その『楽しい』は一体何なのか」(『フジテレビはなぜ凋落したのか』より)

 たとえば、この年、『料理の鉄人』のリメイク版が『アイアンシェフ』として登場した。同局の役員は、「手間とお金をかけて大遊び」をしたこの番組を絶賛している。

「しかし、『手間とお金をかけて大遊び』をするという感覚はいかにもバブリーである。確かに絶頂期のフジテレビにはお似合いだったかもしれないが、不況が続き、震災を経験し、シビアな目で世間を見るようになった人々に通用するのであろうか」(同書より)

 結局、『アイアンシェフ』は、スタートから半年足らずで、視聴率低迷のため打ち切りとなった。吉野氏によれば、同世代のあるフジテレビ関係者が、「高級食材を使っての料理番組なんて今更ウケるわけない」と吐き捨てるように語っていたのが印象的だったと綴っている。

デイリー新潮編集部

新潮社

最終更新:3月28日(月)11時37分

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