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欧州市場の麻薬の集荷そして流通拠点となるオランダ・ロッテルダム

HARBOR BUSINESS Online 6/8(水) 9:10配信

 世界第一の貿易港であるオランダのロッテルダムは、ヨーロッパ市場で売買する麻薬の倉庫になっていると6月4日の「El Pais」紙が報じた。

 世界の麻薬生産のうち、ほぼ9割を占めていると言われているのはアフガニスタンだ。そのアフガニスタンから、国連軍と米軍の一部が撤退して以来、ケシの栽培がまた急激に増えているという。

 アフガニスタンから陸送でトルコに運び、そこから陸送か海上輸送でロッテルダムに送られるという流れだ。また、トルコからルーマニア、ブルガリア、アルバニアを経由してロッテルダムに送るルートもある。またイランとパキスタンでもケシは生産されており、陸送以外に空輸でアフリカを経由してオランダに送るルートもある。

◆港湾関係者や税関職員の腐敗

 ロッテルダムでは〈年間で4億トンの荷物を取り扱っているが、3年前から積荷の押収量はそれまで前例がないほどに増えている〉という。勿論、その押収量の大半は麻薬であるのは言うまでもない。オランダの月刊誌「HP/De Tijd」のレポーターピーター・ブラシック氏が指摘しているように、〈同港の関係者が賄賂の前に屈しないようにするのは大変難しいことで、かなりの腐敗がある〉という。〈犯罪組織は港の職員を賄賂で買収してコンテナーの検査を避けるようにしている〉というのだ。

 また同国の「De Telegraaf」紙で組織犯罪を専門に担当しているレポーターミック・ヴァン・ウェリー氏は、〈移動式そして固定式スキャナーや訓練された犬を使ってコンテナーを積んだ列車を検査している〉ことを挙げ、また顕著な犯罪例として〈2015年にひとりの税関検査官が3400キロものコカインを通関させていたことが発覚して逮捕された〉ことを報じた。更に、同氏は〈資金の洗浄をしていた検査官が今年既に逮捕された〉ことにも触れている。

◆ロッテルダムから全欧に広がる麻薬禍

 時を遡って、〈2013年にはパキスタンからロッテルダムに入港の繊維製品を積んだコンテナーから202キロのヘロインが検出された〉ことがあった。警察は〈その最終目的地は英国だと看做した〉そうだ。英国は麻薬常習者が多く、その数は〈25万人いる〉といわれている。また、昨年5月にはイランから送られた〈12000ダースのケースに入った干しぶどうを積んだコンテナーから764キロのヘロインが検出〉〈この市場相場は1700万ユーロ(20億円)になる〉という。2016年3月には〈既に化学反応させた1200キロの薬物を警察が押収。1キロあたり5万-10万ユーロ(600万円-1200万円)の価格になる〉代物だという。

 ロッテルダムでの麻薬の取り扱いが増えている影響で、1980年代にスペインで麻薬の宝庫とされたガリシア地方がまた麻薬で満たされそうだ。

 すでに、同地方で最近また麻薬の押収が増えている。同地方のトゥイ市で昨年4月に56キロそして12月には27キロが押収された。ガリシア地方で昨年1年間で〈256キロの麻薬が押収れ、一昨年に比べ12キロの増加〉だという。しかし、これは2012年の282キロと2013年の291キロの押収量に比べるとまだ少ないが、今後増加して行く様相を呈しているという。

(参照:「El Pais」6月3日付)。

 この数年、オランダで牛取っている〈麻薬組織はモロッコとカリブ海出身者で、特にコカインを中心に市場を占有している〉という。そして最近は〈アルバニア出身のマフィヤが台頭〉しているという。

<文/白石和幸>

しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。

ハーバー・ビジネス・オンライン

最終更新:6/8(水) 9:10

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