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ファンキー加藤W不倫と子供の運命(下)日米法における不倫の比較

Japan In-depth 6/10(金) 7:00配信

ゲス不倫の「豊作年」となった今年、不倫とは何かが改めて問われている。有名人の不倫騒動が持ち上がるたび、ネットでは「法的にどうよ」という議論が盛り上がる。ここで、日米法を比較してみよう。

以前、姦通罪という刑法上の処罰があった日本では現在、不倫は犯罪ではないが、民法上の責任は問える場合がある。法律事務所あすか(東京都千代田区)の冨本和男弁護士は『弁護士ドットコムニュース』の取材に対し、「不倫は民法上の不法行為にあたり、配偶者から慰謝料を請求されることがあるが、あくまで民事上の責任であって、刑法上の犯罪とは異なる」と解説。「民法で『違法』とされたからといって、刑法上も自動的に『違法』にはならない」と述べた。

事実、「ある種の不倫は民法上も不倫でない」という解釈もある。いわゆる「山路徹(54)・麻木久仁子(53)・大桃美代子(51)三角関係騒動」が勃発した2010年、才色兼備でテレビ番組から引っ張りだこだった麻木の代理人を務めた敏腕弁護士の弘中惇一郎氏(70)は、報道陣の追及を受ける麻木の横から、「婚姻関係が破綻していれば、不貞とか不倫ではないという最高裁の判例もある」と囁いた。米国伝来の「破綻主義」による、違法行為はなかったとの主張だ。麻木は「山路との関係は不倫ではない」で押し通した。

もっとも、この一件で麻木は嫌われ者になってしまい、彼女の出演が告知されたワイドショーやクイズ番組は、前回よりも全体視聴率が2~3ポイントほど落ち、画面に出た瞬間にさらに4~5ポイントも下がることもあった。6年近く経った今も麻木への出演需要は落ち込んだまま。テレビ出演すれば1分間に1000件以上の抗議電話が押し寄せるというタレント・ベッキー(32)の復帰後の運命を暗示している。法的な制裁はなくとも、社会的制裁は厳然として日本に存在する。

一方、米国では不倫は民法上も刑法上も違法ではない州が大多数だ。だが、スタンフォード大学法学部のデボラ・ロード教授(64)によれば、時代遅れになっても廃止されず、死文化した姦通罪がニューヨーク州を含む21州に残存する。

2008年に当時のニューヨーク州知事だったデイビッド・ピーターソン氏(62)の不倫が発覚した際、同氏は「違法ではない」と言い張った。だが、死文化したとはいえ同州法では、今でも500ドルの罰金か90日の懲役刑の犯罪である。

翻って、民法上は50州すべてで、不倫は違法ではない。夫婦の片方が「結婚は破綻している」と主張すれば、裁判所は必ず離婚を許す。不倫をした者でも、親権や養育費の面で不利になることは一切ない。米国は、安心して不倫ができる「破綻主義」の国なのだ。

ある世論調査では、「不倫をした人が米国大統領になれない」との考えを支持しない人が72%、「会社の最高経営責任者になれない」という考えに反対の人は72%、「米軍の大将になってはならない」という考えを支持しない人は、64%に上った。

こうして刑法上・民法上の不倫に対する制裁が廃止され、偏見も減る一方で、米国内で「不倫は絶対間違いだ」とする人は、1979年の70%から、2013年には80%以上に増えていることが注目される。法的に不倫が許容されるようになって、社会正義が欠如し、人間関係の矛盾が増えたと多くの米国人は見ているのかもしれない。

事実、米国にも不倫に対する社会的制裁が残っている。会社をクビになったり、就業規定の罰則が適用されたり、降格される場合がある。また、兵士・警官・消防士など高い倫理が求められる特定の職種では、基準がより厳しくなる。

いずれにせよ、不倫は、すべての公的な信頼関係の基礎である結婚を、「私的な満足や利益の道具」に奪胎換骨し、信用を悪用することで不正な利得を得ることだ。その一番の被害者は子供である。大人たちは、不倫で翻弄される子供たちの運命に思いを馳せるべきだ。

(「ファンキー加藤W不倫と子供の運命」全2回。「(上)懸念される婚外子の立場」)

岩田太郎(在米ジャーナリスト)

最終更新:6/10(金) 7:00

Japan In-depth