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熊本に銘茶あり!美しい霧に包まれた「天空の茶園」を訪ねて(天の製茶園/熊本県)

サライ.jp 6/10(金) 12:20配信

■無農薬・無化学肥料によるお茶づくり

立春から数えて八十八夜が、新茶の収穫が最盛期と言われます。5月初旬、まさに茶畑が一年で最も美しい表情を見せる季節に、熊本県水俣市にある「天の製茶園」を訪れました。

奇しくも今年は、水俣病が公式の認定を受けて60周年という節目の年。水俣市はぬぐえない過去の教訓から、環境に配慮した産業や暮らしづくり、自然との共存を目指し、現在は「環境モデル都市」に指定されるまでになりました。

こうした背景から、天野茂さん・浩さん親子は「より安全でおいしいお茶をつくりたい」という思いで、無農薬・無化学肥料による緑茶や紅茶の栽培に取り組んできました。“天空の茶園”とも呼ばれる天野さん親子の茶園は、携帯電話も通じない、標高600mという高原にあります。ひんやりとした空気の中、霧に包まれた美しい茶畑がどこまでも広がり、その光景はまるで雲の中に浮かんでいるよう。

「空気中に水分がたくさんあるほうが、茶葉がふっくら育つんですよ」と、三代目の浩さん。浩さんが家業に加わってからは、特に紅茶づくりに力を入れるようになりました。老舗和菓子店の「紅茶羊羹」の原料にも採用されるほど、その質の高さと豊かな味わいが評価されています。

■ほのかに香ばしい、昔ながらの「釜炒り茶」

さっそく見せていただいたのは、昔ながらの製法による「釜炒り茶」の製造工程です。摘んだ生葉はそのまま放っておくと、葉の含まれる酵素によって発酵が進んでしまうため、熱を加えて不活性化します。煎茶の場合は蒸して熱を加えますが、釜炒り茶の場合は、蒸す代わりに大きな釜を使い、300℃程度の高温で炒るのです。

こうしてつくられた釜炒り茶は、口当たりはさっぱりとしていますが、優しい旨味があり、炒っているのでほのかな香ばしさもあります。もともとは中国から伝えられたといわれている製法で、九州で多くつくられているのだそうです。

■「紅茶」は茶葉を揉んで発酵させる

同じ茶葉を使いながらも、「紅茶」の製造工程は全く異なります。まず、生の茶葉を「揉捻(じゅうねん) 機」で揉み、組織や細胞を壊して、発酵しやすさを促します。これを室温25~30℃、湿度95%の場所に置くことで発酵を促し、紅茶特有の甘い香りを引き出すのです。発酵が進み、赤みを帯びた茶葉を機械で乾燥させれば、紅茶の完成です。

■「在来種」で風土の個性を出す

「うちで育てている茶葉は、半分以上が在来種。これからも力を入れていきたいと思っています」と話す、浩さん。もともとこの土地に自生していた茶の木は、根がしっかり深くまで張り、病害虫にも強いという利点があるそうです。

「コントロールしようとするのではなく、自然の育ち方に合わせていく」というのが、天野さん親子のお茶づくりの考え方。お茶に限らず、無農薬・無化学肥料の農業育には、大きな苦労がつきまといます。「茶畑の場合は、草取りが本当に大変ですね」と苦笑しながらも、「自然に寄り添う」という姿勢を崩すことなく、多くの壁を乗り越えてきました。

今年4月、熊本は震災にも見舞われました。水俣市の被害は大きくなかったものの、天野さんのお茶を取り扱っている多くの取引先が被災したといいます。茶摘みが最も忙しい時期でしたが、浩さんは寝る時間も惜しんで「自分にできることを」と、不足している物資の援助や運搬に奔走しました。

いまもなお、大変な状況が続いてはいますが、立ち止まってはいられません。「今年は、ミルクティーにしても茶葉の味わいが負けない紅茶をつくりたい」と、目を輝かせる浩さん。自然を愛する志だけでなく、お茶づくりへの志の高さも、多くの人々の共感を呼んでいます。6月下旬頃から始まるという、新茶の紅茶の販売が楽しみです。

文/大沼聡子

最終更新:6/10(金) 12:20

サライ.jp

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