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「無添加ワイン」は本当に「無添加」と言えるのか?

HARBOR BUSINESS Online 6/10(金) 16:30配信

◆原料の「輸入ぶどう果汁」の添加物には表示義務がない

 果実または果実と水を原料として発酵させたものが「果実酒」です。

 ワインも「果実酒」のひとつで、主としてブドウの果汁を発酵させたアルコール飲料です。ポートワインのように甘みや香料を添加させたものは「甘味果実酒」といいます。

 ワインの原材料名表示欄を見ますと、多くの場合「輸入ぶどう果汁」と記載されています。「輸入ぶどう果汁」には、発酵を抑制するソルビン酸などの保存料が添加されていることが多いのですが、これを原料にしたワインには「キャリーオーバー(表示を免除された添加物)」ということで、ソルビン酸の表示はされていません。

 ですから「輸入ぶどう果汁」を使用しているのに「無添加」と表示しているワインは、無添加なのではなく「添加物表示義務がない」という場合が多いのが実情です。

◆ワインの添加物が人体に与える影響

 ソルビン酸は日本でもっとも多く使用されている保存料ですが、動物実験では肝臓肥大、成長抑制、精巣の重量減少などが報告されています。また、染色体異常を起こすという報告もあります。

 さらに、相乗毒性も問題になっている合成添加物です。特定の実験環境下で、発色剤の亜硝酸ナトリウムとソルビン酸を加熱試験反応させるとDNA損小物質が産生されることが報告されているなど、食物として摂取した時のヒトへの影響は定かではないものの、見過ごせないものがあります。ソルビン酸添加のワインと発色剤使用のきれいな色のハムとは、最悪の組み合わせになってしまうのです。

 ワインに一般的に使用されている酸化防止剤は亜硫酸塩(二酸化硫黄など)です。厚生労働省は、国内で流通するワインにおける亜硫酸塩の検出値を、原料のぶどうに自然生成されたものも含めて1リットルあたり350ミリグラムまでと定めています。

 亜硫酸ガスは火山の噴煙や工場煤煙に含まれる有毒ガスです。亜硫酸塩を大量に摂取すると、ぜんそく発作やじんましん、血管性浮腫、ショックなどのアレルギー反応を起こす可能性があるとの研究報告があります。亜硫酸塩はギリシャ時代からワインに使われていたもので、大量に摂らなければ大丈夫だといいますが、害はあっても得はありません。できることなら摂らないほうが安心です。

◆表示義務のない添加物

 その際に注意したいことは、「無添加」のキャッチコピーを頭から信用しないことです。ワイン製造過程ではかなりの添加物が使用されていますが、「加工助剤」として表示は免除されています。それでも「無添加」ワインとして販売されているのです。

 加工助剤は食品の加工工程で使用されますが、除去されたり中和されたりして、最終製品にはほとんど残らない添加物のことです。しかし、ごく微量でも健康に影響を与える可能性があるのが、添加物や農薬など合成化学物質の怖さです。有機塩素系化合物の一部には、環境ホルモン作用(生殖機能への悪影響)を、PPT(1兆分の1レベル)濃度で起こすことが確認されています。食品製造に使った添加物はすべて表示するというのが、食の「安全と安心」のためには不可欠です。

 ある業者は「そんなことをすれば、パッケージの裏は添加物の名前で真っ黒になってしまうよ」と言って苦笑していました。しかし、どんな添加物が使われて、どの程度まで許容できるのかどうかは消費者個人がそれぞれ判断することであって、製造者側が「これは消費者に知らせなくてもいい」と勝手に判断するのはおかしいのではないでしょうか。

◆製造過程で添加物を使用している「ビオワイン」もある

 ワイン製造に使われ、加工助剤と見なされる添加物には次のものがあります。

 アンモニア、炭酸塩(炭酸カルシウム等)、L-酒石酸、リン酸水素二アンモニウム、ベントナイト、ケイソウ土、タンニン酸、ベクチナーゼ、二酸化ケイ素、ポリピニルポリピロリドン

 この中で特に注意しなければいけない添加物は、L-酒石酸とリン酸水素二ナトリウムです。L-酒石酸は酸味料、pH調整剤、膨張剤などとして添加されますが、ウサギ、イヌの動物実験では強い急性毒性が見られています。リン酸水素二ナトリウムは,ラーメンの麺にシコシコ感を出すために使われている「かんすい」のことです。胃の粘膜を損傷させたり、骨のカルシウム減少などを招き、骨粗鬆症を引き起こす恐れがあるとの報告もあります。

 ところで、「無添加」で「安全・安心」なワインというとすぐに頭に浮かぶのは「ビオワイン」です。これは化学肥料や農薬を使わないブドウで生産したワインのことですが、製造の過程で添加物を使用しているものも含まれていますので、ビオワインを購入するときは、キャリーオーバーになっている添加物があるかどうか、加工助剤を使用しているかどうか、メーカーに確認したほうがよいでしょう。

<文/郡司和夫(食品ジャーナリスト)>

ハーバー・ビジネス・オンライン

最終更新:6/10(金) 16:30

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