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林業を目指す若者の増加が日本の森林の未来を守る?

HARBOR BUSINESS Online 6/11(土) 9:10配信

 これまで2回に渡り、林業や日本の森林事情を伝えてきたが、最後となる本稿では林業に関わる人々の動きにフォーカスしていきたい。林業に関連する組織の組員数(技術者も含む)は昭和42年度の約81,000人から、平成22年時には5,700人まで激減した。だが、林業の現場で活躍する人々に関してはいえば、若年層の動きが活発化しつつある。

◆「林業」は若者に入りやすい!?

 農業との比較で興味深いデータがある。農業就業人口の65歳以上が占める比率が約65%以上に対して、林業は約20%と低い。更に林業の新規就業者は毎年3,000人前後で推移しており、35歳以下の労働人口に限れば、平成2年以降は増加傾向で推移し、現在約20%と全産業の中でも高い数字を残している。その背景には、平成15年からスタートした「緑の雇用」(林野庁のキャリアアップ支援制度)の存在があるが、比較的自由に仕事に取り組める環境面にも要因があるように感じる。

 これまで若年層の農業従事者に取材をしてきたが、3年以内で別職種に就くというケースが極めて多い。

 その理由は、「収入面」、「地域住民との付き合い方」、「生活のイメージが違った」といったものに加え、最も大きいのは「どこまでいっても縦割りで、販売ルートやノウハウに関しても県外から来た”よそ者”には強い疎外感を感じる」というものだった。

◆30代新規参入者が感じた林業と農業の違い

 兵庫県朝来市に農業で移住した後、現在は同県で林業に関わる広尾さん(仮名・30代)は林業と農業のスタンスの違いをこう分析していた。

「両方を体験した私の感覚でいえば、農業はガチガチに固められた思考が浸透していて、その点がネックでした。一方、林業には比較的柔軟性があるというのが所感ですね。私は小売業からの転職組で、数字や流通には強いんです。農業で自分の培った経験を活かし、作った農作物を売り込もうとしても、なかなか取り合ってくれなかった。林業の場合は、流通改善やネットを使いPRをしたいというこちらの意見に関して、むしろ歓迎してくれたという現実がありました。収入面では大差ないですが、休みや自分の時間は増えたのも大きい。やりがいも違うので、どちらが良いというわけではありませんが、林業のほうが総合的な自由度は高いと思います。その辺りも若い人が増えている要因ではないでしょうか」

 国税庁の調査(平成25年分)で見ると、30代の林業者の平均収入は約300万円と充分な数字とは言い難い。しかし、専業農家の年収が200万に届かない現実を考慮すれば、決して低い水準ではないだろう。むしろ農業ほど国から手厚い保護を受けていないことを加味すれば、伸び代は残しているといえる。そういった状況がうまく伝わっていないのは、ひとえに訴求力やアプローチの仕方に寄る所が大きいように感じる。

◆林業従事者を増やす上での課題

 今後は、いかに魅力あるコンテンツを作り伝達していくか、という点が課題となるはずだ。グリーンバナー推進協会事務局長の榎本氏は、農業や食、といった分野と住み分けするのではなく、“共存”していくことに未来があると提言する。「林業に就きたい、という人は年々増えてきています。しかし、今の段階では収入面や仕事量が充分でないという現実もある。絶対数が増えても収入や仕事量を確立するには、林業単体で物事を考えるのではなく、他業種との連携も鍵といえるでしょう。

 例えば、森林土壌を活かした農園の野菜やフルーツを販売する事業「森の恵」を当協会でもスタートさせました。森林の間伐で出た木材を粉砕して堆肥にすることで林業振興と農業土壌の改良が同時に進む仕組みです。他にも山菜をブランド化して飲食店と提携したり、消費者参加型のイベントを開催することで地域起こしを図る。こういった動きは双方にとって良い方向に導けるはずですし、将来的な職の創出にも繋がる。若い人が安心して飛び込める業界になるため、少しずつ改善されてきたという手応えは感じています」。

 林業を取り巻く環境の厳しさと変化、また環境保護のために人材の確保が必要であるという事実を強く認識した。本稿が少しでもその“気づき”の入り口となれば、と願いを込めて結びとしたい。<取材・文/栗田シメイ>

ハーバー・ビジネス・オンライン

最終更新:6/11(土) 9:10

HARBOR BUSINESS Online

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北朝鮮からの脱出
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