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DeNAの第2捕手・高城、成長の軌跡――出場少も勝利へ導く『ピッチフレーミング』

ベースボールチャンネル 6/12(日) 6:50配信

山口俊の専属捕手という役回り

「気持ちの部分で腐っちゃったらホントどうしようもないですから」

 交流戦に突入する直前、横浜DeNAベイスターズの高城俊人は真剣な表情を見せ、そう語った。

 ラミレス監督がキャッチャーに求めるものは「キャッチング、ブロック、セカンドスロー」と語っていた今シーズン、DeNAの正捕手はルーキーの戸柱恭孝が務めている。プロ1年目らしからぬ落ち着きと投手とのコミュニケーション能力、さらにリード、打撃で安定した力を発揮し、十分過ぎるともいえる働きを見せている。

 現在この戸柱をバックアップする立場にあるのが高城だ。
 シーズン開幕から一軍登録されたものの、主な役割は相性がいい山口俊の専属捕手。基本的に出場機会は一週間に一度しかない。

 雌伏の時間――失礼を承知で、このままだと試合勘が鈍ってしまうのではないかと問うと高城はかぶりを振った。

「出番は一週間に一度かもしれないけど、その一週間、僕は常に行ける準備をしているんです。試合前のバッテリーのミーティングにもしっかり出て、どんな状況にあるのか理解し、試合途中であっても対応できるようにしています。必ずチャンスはあるはずですし、絶対に準備は怠らない。そういう意味では試合勘云々は関係ないと思いますね。あと試合中は、うちのピッチャーはもちろん、相手のピッチャーもつぶさに観察していますし、学ぶことは多いんですよ」

 成長の軌跡――昨シーズンと比べ高城のキャッチング技術に変化が見られることに気づく。捕球時に手首を柔らかく使い、しっかりとミットを固定し、前に落とすことも流されることもない。以前よりも正確性が増した。昨シーズン問題になったバッテリーエラーの改善という部分はもちろんだが、高城がとくに意識しているのは“ピッチフレーミング”である。

配球に影響を与えるキャッチャーの技術

 ストライクかボールかきわどい判定に影響を与える捕手の技術であるピッチフレーミング。かつて名捕手といわれた古田敦也はこの技術を駆使し、抜群のミットさばきできわどいボールをことごとくストライクと審判にコールさせていた。

 当然、露骨にミットを動かせばボールとコールされるため、感覚に長けた技術が必要となる。ちなみに戸柱もピッチフレーミング能力が高い捕手だと言われている。

「やっぱりストライクかボールか判定に迷う球って、投げたピッチャーからしたらめちゃくちゃ良い球なわけですよ。ピッチャーが投げたその良いボールをストライクにしてもらいたいという思いは強いし、逆にボールになると組み立てが苦しくなる。
 そこは光山(英和)バッテリーコーチからすごく指導されていてトバ(戸柱)さんと取り組んでいるんですが、僕の場合はミットを大きく動かすことなくしっかりと自然に捕るという意識ですね。受け止める、といった感じでしょうか」

 ピッチフレーミングは、今年のチーム方針である“内角攻め”にも重要な技術である。

「インコースの真っ直ぐというのはピッチャーからしたらやはり投げづらい球なんです。だからストライクが取れると、その後の組み立てがまったく変わるし、相手バッターへ与える影響も大きい。やっぱりそこはキャッチング勝負になると思いますね」

 出番は少なくともチームへ貢献するため日々成長を遂げている高城。その想いはバッティングにも現れている。出場機会に恵まれておらず打席数は少ないものの6月11日現在、打率.263、得点圏打率.385、打点7とまずまずの結果を残している。

「得点圏での打席は集中していますね。実は昨年まではバッティングが苦手で、あまり結果を気にすることなくやっていたんです。けど今は週に一回しか出られないので、ようやく打席に立てるってプラスにとらえながらバッティングをしています。気持ちとしてはすごく前向きですよ」

 冒頭で述べたように高城は腐ることなく、持ち前の明るさでゲームに集中している。

「とにかく不安になると思った通りのプレーができなくなるので、そこだけは気をつけています。また夏場以降はケガや疲労があっていつ自分の出番が来るかわからないので、そのときパッと出ていって課せられた役割を果たすことができれば、出番は増えていくと思います。とにかく準備を怠らないようにしていきたいですね」

 この話を聞いた2週間後の6月10日のオリックス戦、高城は先発ピッチャーが山口以外の試合で今シーズン初のスタメンマスクをかぶった。久保康友を好リードし連敗脱出となるチームの勝利に貢献。試合後ラミレス監督は「高城は本当にいいリードをしてくれたし、いいコンビネーションだったと思う。今日は高城を先発させて良かった」と、チームを支える男の労をねぎらった。


石塚隆

ベースボールチャンネル編集部

最終更新:6/12(日) 12:15

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