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【EURO2016】相手GKを退けさせたウェールズが誇るスーパースター、ベイルの名声

SOCCER DIGEST Web 6/12(日) 4:54配信

ウェールズはベイルのワンマンチームではないが――。

 4分のアディッショナルタイムが終わり、ノルウェー人の主審がウェールズの歴史的勝利を告げる笛を吹く。その瞬間、スタジアムのスクリーンには、拳を握って天に向かって絶叫するガレス・ベイルの雄姿が大きく映し出された。
 
 ウェールズの勝利はベイルの勝利。そう、大方の人々はウェールズはベイルのチームだと考えている。
 
 大会直前の会見でも、次のような質問が飛んだ。
「外野の人々は、ウェールズはあなたのワンマンチームだと見ているが、そのことをどう思うか」
 
 これについてベイルは「そんなことはない。チームメイトは兄弟のようなもの。みんなで攻めて、みんなで守るんだ」とコメントし、グループとして戦う精神を強調した。
 
 本人が語ったように、ウェールズは彼ひとりのチームではない。
 
 実際に、この一戦のベイルはFKで先制点を決めたものの動きは重く、本来のパフォーマンスには程遠かった。
 
 パスは精度を欠き、序盤には軽率なプレーからボールを奪われ、決定的なピンチの発端になった。スロバキアが勢いをつかんだ後半は消える時間が長く、終盤にはカウンターから得意のドリブルでゴールに迫ったものの、フィニッシュは力強さを欠いた。
 
 ベイルはいつものベイルではなかったが、それでもチームは勝った。この勝利は良くも悪くも、ウェールズがベイルのワンマンチームではないことを物語る。
 
 ウェールズはベイルひとりのチームではない。しかしそれでも、敵にとってウェールズはやはり彼のチームだ。
 
 レアル・マドリーで数々の栄誉を手にしたその名が、敵に大きな脅威を与えていることは間違いない。
 
 10分に生まれたフリーキックからの先制点は、その名声がもたらしたものだといっても決して過言ではない。
 
 ベイルの左足から放たれた強烈な一撃は、鋭く縦に沈んでネットに突き刺さった。
 
 だが、このゴールはスロバキアのGKマトゥーシュ・コザーチクの判断ミスがなければ決まらなかった。左利き特有の鋭くカーブした軌道を予測した彼は、あまりにも早く逆方向に3度もステップしていたのだ。
 
 つまりGKが素直にボールに対峙していたら、シュートがネットに突き刺さることはなく、正面に近いところでキャッチ、もしくはパンチで対応できていただろう。
 
 クリスチアーノ・ロナウドのように仁王立ちしたベイルに対峙したコザーチクは、プレッシャーを感じたはずだ。
 
「ベイルだ。恐ろしく強烈で鋭く巻いた左足シュートが飛んでくる……」
 
 その結果、コザーチクは縦回転で落ちるボールから遠ざかるように跳んでしまったのだ。
 
 その名声だけで敵を退けてしまう。やはりベイルは、ウェールズが誇るスーパースターだ。
 
現地取材・文:熊崎敬
 

最終更新:6/12(日) 7:00

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