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SNSのデマや著名人の偏見にだまされないための思考法

BEST TIMES 6/15(水) 7:00配信

 

 イングランド生まれのベーコンは「イギリス経験論」の創始者といわれます。ベーコンは人間の認識の根拠を理性ではなく、経験に求めました。「知は力なり」は、ベーコンのよく知られた言葉です。

 正しい知識を得ようとしても、偏見や先入観、思い込みが邪魔をすることがあります。こうした偏見や先入観などをベーコンは「イドラ」と呼びました。

 イドラには「種族のイドラ」「洞窟のイドラ」「市場(いちば)のイドラ」「劇場のイドラ」の四つがあります。

 「種族のイドラ」は、人間という種族に固有の偏見や先入観で、人間が生来持っている感覚などによって生じます。

 たとえば、地動説と天動説のどちらが正しいか。私たちの感覚からすると、どう考えても、天動説のほうが正しいように思えます。感覚的には、太陽や月などの星が地球の周りを回っているように見えるからです。

 「洞窟のイドラ」は、狭い洞窟の中にいるように、親の考えや担任の先生の教え、読んだ本などに影響を受けて形成される偏見や先入観です。

 たとえば、大金持ちの家に育った人は、毎週一回は高級レストランで家族で食事をするのが当たり前と思うかもしれません。あるいは、大学生になれば、自動車の1台や2 台、親に買ってもらうことは当然のことと思ったり。しかし、そうしたことは、今の日本で当たり前といえるようなことではありません。

イドラは今も社会を覆っている

 三つ目は「市場のイドラ」です。多くの人が集まる市場では、いろいろなうわさ話が飛び交います。うわさ話には、間違っているものもあるだろうし、聞き違いや伝言ミスも生じそうです。しかし、そうした話を信じる人も多く、間違った情報が拡散されていくこともあります。そうして生じた偏見や先入観が市場のイドラです。

 今の世の中でも、市場のイドラは日々起きていそうです。特に問題なのは、インターネット上で起きていることです。

 たとえば、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)には、不確かな情報やデマも溢れています。さらに、それらが拡大して、誰かを誹謗中傷するような事態もしばしば起きています。400年ほど前にベーコンが唱えた市場のイドラは、現代の私たちにとっても、大きな問題であるといえます。

 四つ目は「劇場のイドラ」です。古代ギリシャでは、中央に代表者が立って話すことがありました。また演劇では、多くの人が見つめる中、主人公などが活躍します。私たちはそうした代表者や主人公に惹きつけられ、敬意を持つようになります。

 劇場で話す人や演劇の主人公は、権威や伝統に置き換えることもできます。とすると、人は権威や伝統に弱い存在でもあるということです。

 しかし、権威や伝統がいつも正しいとは限りません。間違っていることもあるのに、鵜呑みにして、偏見や先入観を持つようになることもあります。こうして生まれた偏見や先入観が劇場のイドラです。

 たとえば、テレビの情報番組でコメンテーターが発言していたとします。その人はその分野の専門家です。となると、「専門家の言うことだから」と、どんなことであっても、その人の言うことをすべて信じてしまう視聴者もいるかもしれません。それでは、自分の頭で考えたり、確認したりすることが欠けていることになります。

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最終更新:6/15(水) 7:00

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