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PIZZA OF DEATHが作り上げた“シーンを繋ぐ場所” 世代の垣根を越えたパンク/ラウドの祭典をレポート

リアルサウンド 6/15(水) 13:00配信

 PIZZA OF DEATH RECORDSが主催する音楽フェスティバル『SATANIC CARNIVAL'16』が6月4日、幕張メッセ・国際展示場9-11ホールにて開催された。3回目となる同フェスは、開催初年度から“PIZZA OF DEATHのものではなく、シーンのイベントにしていきたい”(SATANIC CARNIVAL'14 | SATANIC ENT)との宣言通り、それぞれのシーンで名を上げるパンク/ラウドロックバンドと、そのファンが各地から集結した。

 例年、会場には“PIZZA OF DEATH”と背中に書かれたお馴染みのバンドTシャツを着た観客を多く目にしていたが、今年は出演するアーティストの様々なバンドTシャツを着たファンも多く、同フェスのシーンへの広がりを強く感じた。また、会場にはメインとなる「SATAN STAGE」と反対側に「EVIL STAGE」が設けられ、両ステージを挟んだ中央の空間には、写真展示を見ながらカメラマンと会話を楽しむ人や、ボルダリングを体験する人たちで賑わっていた。音楽だけでなく、イベント自体を最大限に楽しもうとする来場者の姿が見られたのもSATANIC CARNIVALらしい光景だ。

 今年のSATAN STAGEは、WANIMAのKENTA(Ba/Vo)による「SATANIC CARNIVAL'16、WANIMA、開催しまーす!」という開催宣言で幕を開けた。KENTAが「寝不足じゃない? 大丈夫? ちゃんと起きてる?」と尋ねるまでもなく、1曲目から観客のノリノリの掛け声が響き渡った空間は、朝一番のステージとは思えないほどの活気で溢れていた。KENTAが、笑顔で何度もガッツボーズを向けると、地元・熊本の祖父に向けて作った「1106」を歌い上げ、先日震災に見舞われた熊本にエールを送る姿も。WANIMAは、「SATANIC!」という言葉を時折り歌詞に混ぜ、歌のパートを観客のシンガロングに託すなど、観客と笑顔を向けあったステージを作り上げていた。

 一方、EVILE STAGEでは、昨年復活を遂げたジャパハリネットが登場。「It's a human road」から、懐かしい青春ソングが続くと、再結成後、初の新曲となる「リフェ」を披露。今日の出演を「不安だらけだった」と話していた城戸けんじろ(Vo)だったが、「バンドの一覧表見たらバンド名カタカナなの俺たちだけだし(笑)。再結成1年目の新人バンドです、よろしく!」とジョークを飛ばしつつ、彼らの音楽を鮮やかに鳴らした。続くDizzy Sunfistは、「ハイスタ育ち、Dizzy Sunfistです!」とバンドのフレッシュさとは裏腹に、 パンクシーンに果敢に攻め込んでいくかのような驀進型のライブを披露。

 AA=がデジタルハードコアの尖ったサウンドを会場に流し込むと、歓声が次々に上がり、直前までメロコア・パンクの熱気で充満していたフロアの空気を一変させた。その裏では、初登場のMONOEYESが爽やかなギター・ロックを奏で、続くHEY-SMITHが、昨年の出演オファーを活動休止で悔しくも断り、ステージに立てなかったと告白。猪狩秀平(Gt/Vo)は、「迷っとったけど、パンクの力信じてよかった」と語り、目一杯の「Come back my dog」を鳴らすと、フロアは熱狂的な歓声でそれに応じた。

 そして、SATAN STAGEに現れたのは、究極の生命体・MAN WITH A MISSION。イントロが聴こえた瞬間、歓声が湧いて始まったのは「Get Off of My Way」。曲のサビでは、Jean-ken Johnnyの「カカッテ来ナサイ!」という合図で、一斉に観客が両手を振りながら踊り出し、笑顔が広がった。Jean-ken Johnnyは「仲間ニ入レテモラエテ、光栄デス」と初出演の喜びを表すと、「人間ゴトキガ、狼ニ勝テルト思ッテルノカ! 貴様ラ!」と言い放って激しいライブを繰り広げ、10-FEET・TAKUMA(Gt/Vo)と共に『database feat.TAKUMA(10-FEET)』を披露、より一層フロアを熱狂させた。

 続くSATAN STAGEには、常連アーティストとなったSiMが、ゾンビメイク仕様で登場するという、演出にこだわったステージを披露。3年目の出演となるSHANKも、ライブからトークまでEVIL STAGE上で自由なパフォーマンスを繰り広げた。その後、NAMBA69が登場し、新メンバー・ko-hey(Gt)が加入した新体制で、初ライブを披露した。観客からは「おかえり」という声も届き、難波章浩(Ba/Vo)は「PIZZA OF DEATHのおかげ。新しくなっても、パンクロックやって、SATANICのステージからスタート切れた。リスペクト!」と感謝の思いを伝えた。そして難波の「パンクロックは好きですかー!?」との掛け声に賛同したオーディエンスと共に、元祖パンクロックの意地を見せつける演奏を展開した。

 ラインナップも終盤に近づき、SATAN STAGEには、横山健(Gt/Vo)が、緑の風呂敷を肩に乗せて「ズラ!」と呟きながらKen Yokoyamaとして登場すると、会場には笑いが溢れる。肩に日本の国旗を掛けた横山が「Save Us」を歌い上げ、1996年に横山がプロデュースしたHUSKING BEEの1stアルバム『GRIP』から「WALK」のカバーを披露。横山は「20年前からこのシーンにいなくたって、誰だって今日からこのシーンの一員になれるんだ」とメッセージを伝え、マイクをフロアへ託した。「繋いでいこう」という意思が込められた「Let The Beat Carry On」の歌い出しを観客に任せ、横山はギターをかき鳴らし、横山と観客が思いを共にした光景が印象的だった。

 同じ頃、EVILE STAGEで最後のアクトに登場したのは、3年前の初年度にトップバッターを務めていた04 Limited Sazabysだ。Hi-STANDARD主催の『AIR JAM』に憧れた04 Limited Sazabysは、今年の4月に自身が主催する『YON FES』で約2万人を動員。GEN(Ba/Vo)は、「2年前のオープニングアクトが色んなきっかけになって、今の僕たちがある」と話し、自信に満ちたステージで堂々のトリを飾った。そして、今年のSATANIC CARNIVAL'16の最後のステージには、昨年も数々のフェスでトリを務めた10-FEETが登場。新曲をワンフレーズ歌い上げると、観客の心を掴んで躍らせるパフォーマンスで、この日最後のライブを大いに盛り上げた。

 わずか3回の開催で、すでに日本の音楽シーンにおいて極めて重要な存在となった『SATANIC CARNIVAL'16』。同イベントの開催前、リアルサウンドで行ったKen YokoyamaとJean-Ken Johnny(MAN WITH A MISSION)の対談でKen Yokoyamaが話した「きっかけは大袈裟なものじゃなくて。誰だっていつでもそのシーンの一部になれる。そういうふうに思ってもらえたらいいな」という声がしっかりとリスナーに届いているということは、笑顔で溢れた会場の光景を見れば一目瞭然だった。各バンドが、この日の熱を残さず各地のライブハウスへ運んでいく出発点として、SATANIC CARNIVALは今後も“パンク・シーン”を繋いでいくシンボルとなっていくだろう。

『SATANIC CARNIVAL’16』
日程:6月4日(土)幕張メッセ国際展示場 9-11 ホール

【SATAN STAGE】
WANIMA、Crossfaith、dustbox、MONOEYES、HEY-SMITH、MAN WITH A MISSION、SiM、Ken Yokoyama、10-FEET

【EVIL STAGE】
bacho(O.A.)、TOTALFAT、ジャパハリネット、Dizzy Sunfist、AA=、ATATA、The BONEZ、G-FREAK FACTORY、CRYSTAL LAKE、SHANK、NAMBA69、04 Limited Sazabys

大和田茉椰

最終更新:6/15(水) 13:00

リアルサウンド

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

北朝鮮からの脱出
北朝鮮での幼少時代、『ここは地球上最高の国』と信じていたイ・ヒョンソだったが、90年代の大飢饉に接してその考えに疑問を抱き始める。14歳で脱北、その後中国で素性を隠しながらの生活が始まる。 これは、必死で毎日を生き延びてきた彼女の悲惨な日々とその先に見えた希望の物語。そして、北朝鮮から遠く離れても、なお常に危険に脅かされ続ける同朋達への力強いメッセージが込められている。