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テロ主戦場ついに米国内へ、拡散招く3つの憂い

JBpress 6/15(水) 6:15配信

 米フロリダ州オーランドで6月12日に起きたテロ事件は、米国が抱える3つの憂慮の根の深さを改めて示すことになった。解決不能と思われるほどの深みを見せられた思いさえある。

 3つの憂慮とは、テロリズムとの果てなき戦いであり、次が銃規制、3つ目が性的少数者(LGBT)の処遇である。

 100人以上の死傷者を出した米史上最悪の銃乱射事件は、3つの問題とどう向かい合うかを根本的に問うことになった。大統領選の争点として新たに浮上してもいる。

 実行犯オマル・マティーン容疑者(以下マティーン)がイスラム国(IS)からの指示を受けていたとの情報もあるが、真の問題はそこではない。

■ ISの間接的影響

 本人は警察に電話で「ISに忠誠を誓っている」と言っており、IS執行部の手の及ばぬ場所で、間接的に影響を受けていた可能性が高い。

 この点で、昨年12月にカリフォルニア州サンバーナーディーノで起きた銃乱射事件と似ている。当事件の実行犯も射殺されたため、動機やISとの関連性は聴取されていないが、ISに忠誠を誓うコメントは残されている。

 ISが直接的、または間接的に背後にいたのだ。

 しかもテロ攻撃に使用された武器が今回と同じスミス&ウェッソン社製のAR-15自動小銃だった。カリフォルニア州の事件では、凶弾によって14人が死亡し、17人が重軽傷を負っている。

 ISから派生したテロ攻撃はいまシリアやイラクだけでなく、確実に米国内に拡散している。ISによるテロの「種子」が米国内に蒔かれたのだ。

 しかもマティーンは単独犯である。2013年からISとの関係を疑われ、米連邦捜査局(FBI)の捜査線上に2度も浮上していたが、事件を未然に防ぐことはできなかった。

 ニューヨーク・タイムズは事件の5日前、FBIのおとり捜査についての記事を掲載している。ISの「種子」は全米中に蒔かれ、特に過去2年でテロリスト数が急増しているという内容である。

 FBIはおとり捜査を使ってこれまで約90人を検挙しているが、潜伏しているテロリストの一部に過ぎない。

 今月9日にはISの関連団体と言われる「サイバー・カリフ国(United Cyber Caliphate)」が、世界中の標的とされる約8000人をリストにして公開。ほとんどが米国市民で、フロリダ州には600人がリストされていた。

 ISの活動領域はすでに中東諸国から他国へと拡大している。テロとの戦いは収束するどころか、主戦場が米国内へと移行していると考えるべきなのかもしれない。

■ トランプはテロを防げない

 バラク・オバマ大統領は会見で「今回のテロ攻撃はすべての米市民に向けられたもので、平等と尊厳に根ざした基本的価値観への攻撃だ」と述べたが、事前にテロ活動を防止することは多難を極める。単独犯となるとなおさらだ。

 共和党ドナルド・トランプ候補(以下トランプ)は事件後、「(イスラム教徒の一時入国禁止の自分の判断は)正しかった」とツイート。「オバマ大統領がイスラム過激派への対策を発表しないなら、即刻辞任すべきだ」とまで書いた。

 年頭から米国で言われていたことがある。

 米国内で新たなテロ事件が勃発した場合、トランプを勢いづかせるとの観測だ。イスラム教徒への排斥の流れを加速させることで、トランプ支持者が増えると一般的には思われるが、その部分に同調する米有権者は実は一部に過ぎない。

 というのも、いまの時期になると、すでにトランプ派と民主党ヒラリー・クリントン候補(以下ヒラリー)派にはっきり分断され、トランプが強硬なテロ対策を打ち出したとしても、新たにトランプに流れる支持者は限定されるからだ。

 一方のヒラリーは声明で、「国内外で(テロの)脅威から我が国を守る努力を再び強化したい」と述べたが、テロ対策についてはオバマ大統領と大差がない。特効薬を持ち合わせていないということだ。

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最終更新:6/15(水) 6:15

JBpress

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