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FRBのイエレン議長の記者会見-Careful approach

NRI研究員の時事解説 6/16(木) 9:39配信

はじめに

今回のFOMCについては、この数週間に予想が揺れた面もあったが、最終的には市場の見方が収斂した通りに現状維持となった。加えて、記者会見でのイエレン議長の回答振りも、先行きについて明確な言及を避ける姿勢が目立つなど、総じて、今後に対するインプリケーションを得ることの難しい会合となった。それでも、今回はSEPとdot chartの定例レビューに当たるほか、記者会見の中ではいくつか興味深いポイントが提起された。いつものように内容を検討しよう。

経済情勢の判断

まず、声明文の第1パラグラフに示された経済情勢の判断をみると、労働市場の改善ペースが鈍化したものの、経済活動全体の拡大ペースは高まったと評価している。この点は、イエレン議長が記者会見の中で言及したように、低位に止まった第1四半期の成長率が一時的なものであるとの理解を反映している。

このうち労働市場に関しては、声明文で、失業率が一段と低下する一方で雇用増加が減退した点に言及している。その上で、記者会見でイエレン議長は、(1)完全雇用に近い以上、雇用増加のペースが鈍化するはずである、(2)ただ、この点を勘案しても足許の雇用増加は少なく、今後の指標に注目する、との説明を行った。

一方、総需要の主要項目に関する評価は、家計支出の拡大が強まり、住宅投資は年初来拡大を続け、純輸出のマイナス寄与が縮小する一方、設備投資は軟調な状況が続いたとしている。前回のFOMC(4月)と比較すると、家計支出と純輸出に関する見方が上方修正されており、イエレン議長も、第1四半期の低成長を一時的と理解する理由として、これらの要素の改善を挙げた。

その上でインフレに関しては、以前に原油価格や輸入物価の下落が生じた影響もあって、引続き2%目標を下回るとの評価が、前回のFOMC(4月)の声明文と同じ表現で維持されている。

経済と物価の見通し

より長い目で見た経済と物価の見通しを今回改訂されたSEPに即してみると、まず実質GDP成長率の見通し(median)は今年から来年にかけて2.0%→2.0%とされ、前回見通し(3月)が2.2%→2.1%であったのに比べ、わずかながら下方修正された。この点は、上にみた足許の景気判断と整合的でないようにも見えるが、そもそも時間的視野が異なることに加え、イエレン議長は記者会見の中で、FOMCメンバーが先行きに関する不透明性を意識していることが反映した可能性を示唆した。

一方、デュアルマンデートに関わる指標のうち、失業率に関する今回の見通しはmedianとレンジの双方とも、前回見通し(3月)から殆ど変わっていない(2018年の見通しのみがわずかに悪化)。これに対して、Core PCEインフレ率の見通し(median)は、今年から来年にかけて1.7%→1.9%とされ、前回見通し(1.6%→1.8%)からわずかながら上昇修正されたほか、レンジも2016年分がわずかに上方にシフトした。この点についてイエレン議長は、声明文でも示唆した要因(原油価格や輸入物価が以前に下落した影響の減衰)に加えて、労働市場の改善が進むことによる賃金の緩やかな上昇を背景として指摘した。

このように細かくみれば多少の変化が加えられているが、今回の見通しは、全体としては前回の見通し(3月)が維持されたと理解すべきであろう。つまり、上に見た声明文の内容と関連付ければ、第1四半期の成長の減速が中期的な影響を持つものではないと理解されたことを意味する。

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最終更新:6/16(木) 9:51

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