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フォルランの“サクリフィシオ”。ウルグアイ代表でもセレッソでも大事にしてきた姿勢【フットボールと言葉】

フットボールチャンネル 6/16(木) 10:00配信

 異なる言語間では、翻訳困難な語は無数にある。それはフットボール界においてもしかり。外国のフットボーラーが語った内容を、我々はしっかりと理解できているのだろうか。選手、監督の発した言葉を紐解き、その本質を探っていきたい。今回取り上げるのはディエゴ・フォルラン。“サクリフィシオ”(犠牲心)をキーワードに、ウルグアイ人FWがセレッソ大阪に残したかったものは何かに迫りたい。(文:竹澤哲)

故郷の友人たちからのメッセージ

 2014年11月8日早朝、セレッソのクラブハウスでWOWOWのドキュメンタリーのための最後のインタビューが行われた。フォルランを迎えるにあたり、一つの仕掛けを用意していた。

 それはWOWOWの小畑ディレクターがウルグアイで撮って来た、関係者たちのフォルランへのメッセージをスクリーンに映し出して、見てもらおうというものだった。メッセージをしてくれたのは、次のような選手、関係者たちだった。

 イバン・アロンソ(ナシオナル選手、元リーガ・エスパニョーラ選手)、グスタボ・ムヌーア(ナシオナル選手、元リーガ・エスパニョーラ選手)、パオロ・モンテーロ(ペニャロール監督、選手時代はセリエAで長年プレーした)、ダニエル・マルティネス(元ウルグアイ代表フォワード)、ホルヘ・デ・パウラ(医師)。

 メッセージを映し出すと、フォルランはスクリーンを食い入るように見つめた。関係者たちからのメッセージで共通していたのは、「地球の裏側で戦っているフォルランは、ウルグアイの親善大使であり、国民にとって誇りだ。厳しい状況の中でも、さらにがんばって欲しい」といった激励の言葉だった。

 メッセージを全部聞き終わると、フォルランは「どうもありがとう」と言って、とてもうれしそうな顔をした。私が「地球の裏側から話しているようにはとても感じませんね」というと、「本当だね」と言って、再び微笑んでくれた。

模範的な回答をするフォルラン

 メッセージを聞いた感想を少しハイなトーンで話した。

「彼らを見られて、とてもうれしかったよ。イバン・アロンソだけは一度も対戦したことがないし、代表でも一度も一緒になったことはない。でもお互いに親愛の念と、リスペクトを持って接してきた、なんといっても同じ世代であるからね。グスタボ・ムヌーアとは一緒に長い間プレーした。今日、お互いとても遠くにいて、離ればなれになっているけれど、とてもいい関係を続けてきたんだ。

 パオロとも親しくしてきた。僕にいつも、とても暖かい言葉を投げかけてくれた。彼をとても誇りに感じているんだ。なぜなら彼は、選手としてのみならず、一人の人間としてウルグアイのフットボールにとても大きく貢献してきた人だからだ。僕は彼からとても多くのことを学ぶことができたんだ。ウルグアイフットボール界を代表する偉大な選手だ。僕は彼をとても高く評価しているんだ。彼とは一緒に長い間、プレーしてきた。彼がフットボールを晩年まで楽しんでやっているように、僕も楽しんでやっているんだ。

 ダニエル・マルティネスもドクターホルヘもいたね。ダニエルと1年間ダヌビオで過ごした。そしてガブリエルとホルヘと一緒に友達の輪を築いていたんだ。それは友人という関係よりも一つの家族だった。友人たちを見ることができたし、言葉をもらえてとてもうれしかったんだ」

 このようなスタートであったからかもしれないが、インタビューは多少エモーショナルな雰囲気の中で進んで行った。自宅で行ったインタビュー以来、試合後のミックスゾーンや練習でも何度か接してきたので、自宅で初めて話を聞いた時とはまるで別人のように、心を開いてくれたような気がした。けっして饒舌ではなかったが、それでも一つ一つの質問に丁寧にこたえてくれたのだった。

 セレッソでは、練習が終わっても一人でランニングをしたりするフォルランだが、練習熱心なのは子どもの時からだと言われている。フィジカル練習を辛いと感じたことはなかったのかと尋ねた。

「ないね。僕はフットボールをするのが好きだし、フィジカルトレーニングをするのも好きなんだ。プロとしてやっていく上で必要なことは全て好きなんだ」

 とある種、模範的な答えを返してきた。

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最終更新:6/16(木) 10:00

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