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松田聖子こそ“アイドル”の最終的な理想? 通算50枚目の新作アルバムもランクイン

リアルサウンド 6/16(木) 13:00配信

【参考:2016年6月6日~2016年6月12日のCDアルバムランキング(2016年6月20日付・ORICON STYLE)】(http://www.oricon.co.jp/rank/ja/w/2016-06-20/)

 アイドル自身もこれまではキャリアを積むにつれて「アイドルではない何か」になりたがる傾向はあった一一。

(参考:アイドルは年齢とキャリアをどう重ねていく? AKB48、Perfume、Negiccoが示す新モデル http://realsound.jp/2016/06/post-7889.html)

 レジーさんのアイドル業界考察を興味深く読みました。同じような例は他の世界にもあって、たとえば声優が個人名義で歌手デビューをする時は「ただの声優ではないアーティスト性」をアピールすることが珍しくありません。この裏にあるのは「アイドルや声優が、本気で音楽を志してきたミュージシャンと肩を並べるなんて」という反感の声でしょう。

 そうやってスタートの段階から悪く言われれば、当人は「どこまで本気で音楽をやっているか」を音と姿勢で証明するしかない。ふつうに音楽が好きで純粋に才能を認められたミュージシャンより、ナニクソという精神力や根性は鍛えられて当然ですよね。結果的にいい音楽が生まれて支持が続けば、その姿に憧れて「いつか◯◯さんのようにアーティスト活動をしたい」と言い出す若手アイドルが増えてしまう。これも困った循環のような気がします。

 そんな前フリから、今週1位は堂本剛『Grateful Rebirth』。「アイドルではない何か」を希求してENDLICHERI☆ENDLICHERI名義でデビューした剛くんの、ソロ10年目のミニアルバムです。事務所を否定こそしないものの、事務所のセオリーからは大きく外れた音楽活動を続けてきた彼は、いまジャニーズの中でどういう扱いなのでしょうか。憶測ですが、「もうこれは彼の趣味だから」と放っておかれている印象も。だいいちリリース形態の種類(CD+DVDの初回盤とCDのみの通常盤)が地味ですし、初週39,568枚というセールスもジャニーズにとっては地味な数字。しかし10年も続く彼のソロ活動が「失敗」であるという声はどこからも上がってこない。KenKenや竹内朋康らバンド・メンバーと楽しそうにファンクを鳴らす今の堂本剛は幸せなのだなと素直に思います。彼のようなアーティスト活動に憧れるジャニーズJr.が現状どれだけいるのかも、想像に難くない話でしょう。

 3位のOLDCODEXのベスト盤もしかり。声優のTa_2こと鈴木達央を中心とするユニットですが、ONE OK ROCKばりにアグレッシヴでエモーショナル、かつ壮大なスケールのサウンドは、いまやそこらのロックバンドより人気、実力ともに上回るもの。Ta_2本人も、声優の仕事を否定はしないものの、ここでは「俺は本当のバンドをやりたい」と強く語っています。そういったスタンスも、このベスト盤の売れ方も、若手声優たちに「いつか自分たちもアーティストとして音楽活動を…」と思わせるのかもしれません。

 が、しかし。最後になって「アーティスト活動は必要か?」という巨大なテーマを投げかけてくる怪物がいました。松田聖子です。通算50枚目(!)のアルバム『Shining Star』は初登場5位にランクイン。本作はなんといっても作詞・松本隆、作曲・呉田軽穂(松任谷由実)の2曲に注目が集まりますし、編曲者がそれぞれ松任谷正隆と中田ヤスタカであることも凄い。80年代から現在までがサラリと繋がるような感覚です。もちろん彼女は有名作家陣にすべてを任せているわけではなく、たとえばアルバムの表題曲は自ら作詞作曲を手がけているのですが、今さら曲を書いたところで「松田聖子がアーティスト路線に!」と思う人はまずいませんよね。アイドルとして生まれ、アイドルとして年を取り、アイドルとして今も仕事を全うする松田聖子。過去には「アイドルではない何か」になろうとする動きもあったようですが、今ではただ、松田聖子という偶像であり続け、そのままリアルに50代に突入している。これこそアイドルの最終的な理想、前人未到のゴールなのでは?

石井恵梨子

最終更新:6/16(木) 13:00

リアルサウンド

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北朝鮮からの脱出
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