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『64 -ロクヨン- 後編』、前編比138%の好発進! 2部作ブームはまだ続くのか?

リアルサウンド 6/16(木) 17:25配信

 先週末の動員ランキング1位は『64-ロクヨン-後編』。土日2日間で動員28万2693人、興収3億5409万0400円。以前にも当コラム(参考:「ゴールデンウィークの2強」に続く3位に初登場、『64-ロクヨン-』が傑作となった理由とは )で書いたように、前後編ともに出色の仕上がりの『64-ロクヨン-』だけに納得の順位ではあるのだが、この数字は予想以上だった。なにしろ、5月7日に公開された前編の初動興収と比べて、実に約138%という大幅な興収アップ。同じく作品への評価が非常に高く、異例なほど低い減少率のまま前編『上の句』がロングランしていた『ちはやふる』の後編『下の句』が、前編の初動との興収比で約121%だったことを踏まえると、これが驚異的な数字だということがわかるだろう。

 もっとも、ちょっと水を差してしまうが、初動はあくまでも初動。たとえば、昨年公開された『ソロモンの偽証』の後編は初動興収比で前編の約135%だったが、最終興収は前編の約7.2億円に対して後編は5.8億。前後編映画のセオリー通り、確実に後編では目減りしている。ちなみに『ソロモンの偽証』後編の初動は1億6228万だったから、公開週の週末だけで実に3割近くの興収を稼いだことになる。今回の『64-ロクヨン-』も、後編への興味を引きつけやすいことや、飽きっぽい観客が多い若年層とはターゲットが異なることなどから、ミステリー作品に特有の「後編のスタートダッシュ」である可能性も否定できない。

 2006年に公開されて、2部作合わせて最終興収80.5億という大成功を収めた『デスノート』(前編は約28.5億、後編は約52億)が、前編後編ブームの先鞭をつけてからちょうど10年。現在の日本映画界における様々な問題点が集約されていると言ってもいい前編後編映画。その是非については既に様々なところで語られているが、興収で後編が前編を超えたのはその『デスノート』のみだというのも歴然とした事実。しかも、それは映画業界&テレビ業界にとって禁じ手ともいえる、後編公開直前のテレビ地上波での前編放送というトリッキーな戦略が大きく寄与したものだった。

 以前にも書いたように、現状、発表されている範囲では『64-ロクヨン-』以降に前後編で公開が予定されている日本映画はない。あの『デスノート』でさえも、今年10月に公開される『デスノート Light up the NEW world』は単独作品だ。状況だけみると、この10年間で2部作ブームは一回りして終焉したと言ってもいいのかもしれない。一方で、今年好成績を収めた『ちはやふる』は3作目の製作が早々に決定。『64-ロクヨン-』に関しても、今回2部作となったことに対する批判の声はほとんど耳にしない。作品の出来次第といってしまえばそれまでだが、このような成功例がある限り、まだまだ水面下では2部作映画が企画され続けているのではないかと自分は推測する。

宇野維正

最終更新:6/16(木) 17:25

リアルサウンド

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