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池畑潤二が語る、フジロックが人々に愛される理由【後編】

ローリングストーン日本版 6/16(木) 18:00配信

【特別連載】
ローリングストーン日本版 × フジロックフェスティバル ’16

池畑潤二が語る、フジロックが人々に愛される理由【前編】

もとはルースターズのドラマーで、近年では苗場食堂の夜の顔「苗場音楽突撃隊」やグリーン・ステージの朝の顔「ROUTE 17 Rock’n’Roll ORCHESTRA」のドラムス担当、そして裏方スタッフとしても重要な役割を担う池畑潤二が語る、フジロックが愛される理由。前編では主にスタッフとしてその魅力について語ってもらったが、後編となる今回は、ミュージシャンとして見たフジロックの魅力について語ってもらった。

インタヴュー前編はこちら

―初めてフジロックに行く人に対して、おすすめの過ごし方ってありますか?

そうですね・・・自分たちスタッフはいつもテントというかタープを張ってて、そこにいることが多いですね。タープの中にいれば雨が降っても暑くても快適に過ごせるんです。ドラゴンドラに上がっていく途中くらいにある場所なんだけど、人も少ないし、暑さをしのぐ木陰もあるし音楽も聴こえてくる、良い場所ですよ。ただ、初めてならやっぱりまずはいろいろ見る方が楽しいかな。ワールドレストランとか、いろんな食べ物もあるし。本当に美味しいものが食べられるので、それを楽しみに来ている人も多いと思います。六本木とか渋谷あたりで飲みに行くようなお店がそのまま出てたりするんですよ。

―池畑さんも表側を見て回ったりするんですか?

もちろん、いつもですよ。ライヴが始まると、まず表の方を見に行きますね。

―フジロックって他のフェスに比べて出演者がうろついているイメージがあるんですけど、何でなんですかね?

見たいステージがあるのと、開放感みたいなものもあるんじゃないですかね。みんな表側でよく会いますよ(笑)。

―あと、池畑さんといえば苗場食堂の "苗場音楽突撃隊" です。

もともと苗場食堂って普通の食堂だったんだけど、ある時(忌野)清志郎さんと日高さんの "清志郎、何かやらない?" "いいですよ" っていうやり取りから始まったんです。店の軒先でドラムを置けるスペースも無いから、取り敢えずマイクとちょっと叩くものを用意して、たまたま居合わせた僕とギャズ(・メイオール)と、数人でやったのが一番最初でしたね。それが少しずつ今の形になっていって、苗場音楽突撃隊としては今年で5回目かな。


苗場食堂の様子 Photograph by Go Okuda

―毎年、豪華ゲストの飛び入り参加が話題になっていますよね。

いつも誰が出るか発表しないんです。ある程度は決めてるけど、そこに来てる人たちに急にお願いすることもあります。去年は鮎川さんがロケッツでステージに出ていたので、終わった後に楽屋まで行って "今晩ちょっと出てもらっていいですか?" って(笑)。そういうこともあります。

―当日になってみないと何が起きるか分からない、みたいな。

ベンジー(浅井健一)とかチバ(ユウスケ)に出てもらったこともあるしね。"苗場音楽突撃隊" って本当にその名の通りというか(笑)。で、その発展形がROUTE 17 Rock’n’Roll ORCHESTRA。それが今年で4年目で、毎年グリーンステージのオープニングを11時からやっています。何故かというと、みんな前夜祭で遅くまで盛り上がってて、翌朝なかなか人が集まらないから一発目から盛り上げてやろうってことで。最初に話が来たときは "え!?" って思ったけど(笑)。
--{池畑氏が選ぶ、フジロックベストメモリー}--
―今年も出演は11時ですか?

それが、今年は違うんですよ。ちょっと格上げしました(笑)。今年は朝ちょっとゆっくり出来るかなぁって。(※出演時間は後日発表)

―それはおめでとうございます(笑)。いつも出演した後はどんな感じで過ごすんですか?

まず飲むでしょう(笑)。で、裏方作業の合間に仲間のステージとかいろいろ見に行きます。

―で、夜には苗場食堂に出て。

そうですね。実はお酒を飲む暇はあまり無いです(笑)。苗場音楽突撃隊が終わると、各ステージのメインアクトがどんどん始まりますからね。

―今まで見てきた中で、特に印象深かったステージって何ですか?

やっ ぱり、初回のレッチリかな。暴風雨でステージの屋根に張ってたテントがはがれてきて、メンバーがだんだん濡れないように真ん中に集まってくるっていう (笑)。僕はその時後ろにいて、雨が降り込まないようにずっとテントを引っ張ってたんです。それは大変だったし、印象深いですね。


過去3年間にわたりグリーン・ステージのオープニングを務めたROUTE 17 Rock’n’Roll ORCHESTRA

―今でも伝説になっていますよね。

レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンの時に水蒸気が客席から上がってくるんですよ、雲が出来るくらいの。今まで見たことがない光景で、それにも驚きました。前日すごく天気がよくて半袖で過ごしてたんですけど、夜になったら少し寒くなってきて、そのうち雨がポツ、ポツって降り出した瞬間も覚えてます。

―その他はありますか?

自分がルースターズで出た時のことは印象に残っていますね。2004年と2014年。実は、フジロックを作ってきた人たちってもともとルースターズの中にいた人なんですよ。当時のマネージャーとか。


フジロックを主催する、スマッシュ代表の日高氏と

―そうなんですか!

ルースターズのマネージャー、2人います。苗場の地元の方々に "部長さん" とか呼ばれてるのに、俺とかが "おいコラ" って話しかけるとみんなビックリするの(笑)。今となってはみんな僕の事ももう知ってるけど、最初の頃は "何か変な人がきて部長に偉そうに絡んでるけど、誰なんだ?" って思われてた(笑)。どこのバンドもみんなマネージャーには強いからね。
--{今年注目のアーティストと見どころは?}--
―そこの関係性は今でも崩れないんですね。今年出る中で注目しているアーティストは?

知り合いが多いからいろいろ見に行きたいですね。レッチリも何度か出てもらっているし、はちみつぱいとか、WILCOとか、BECKとか。実は今回、第一回目のフジロックで演奏出来なかった人たちを出来るだけ集めているんです。(※豪雨で2日目は中止になった)

―そうだったんですね。まさに20年の節目にふさわしいラインナップで。

もちろん新しい連中もたくさんいるけど。あと、BOREDOMSも楽しみにしてます。

―苗場食堂も今年は誰が出るのか、楽しみです。

基本的には会場にいる人たちにお願いしたりするんだけど、結構意外な人たちが出てきますからね。鳥羽一郎さんとか。

―え!? 鳥羽一郎さんが出たんですか?

すっごい盛り上がったよ。みんな "イチロ~~!!" って(笑)。


グリーン・ステージまでの道に新設されたボードウォーク

―今年はROUTE 17~に八代亜紀さんも参加されますし、期待してしまいますね。では、ライヴ以外の見どころは?

個人的にはグリーン・ステージに行く道があるんですけど、そこにボードウォークを作れたのが良かったですね。今までも普通に通れた道なんだけど、川に橋が渡っていて、雨が降ると滑って危なかったりしたので。あと、去年一緒に仕事していたロンドンチームのスタッフが一人病気で亡くなってしまって、今年はその人のスペースを作って、みんなでそこでお酒を飲もうっ言ってるんです。なので、もしそのスペースを見つけたら、みなさん飲みに来てください。アンクル・デイヴ・リー(Uncle Dave Lee)っていう人。いろいろ作ってくれて、すごく仲が良かったんだけどね。その人たちが作っているパレス・オブ・ワンダーっていう、廃材とかを溶接して作った場所もあるので、そういった作品もぜひ楽しんで欲しいです。

―そういったアーティスティックな装飾もフジロックらしさの1つですね。

音楽を楽しむのは音楽好きの人たちが来てるから当たり前だけど、そういうところも楽しんでもらえたら嬉しいよね。僕はいろんなところにいますから、見かけたら声かけてください。


廃材などで創られたオブジェが立ち並ぶ、パレス・オブ・ワンダー Photograph by 宇宙大使☆スター

苗場音楽突撃隊:
池畑潤二(Dr)を筆頭に、苗場音楽突撃隊の松田文(Gt)、井上富雄(Ba)による苗場食堂の夜を飾るスペシャルバンド。毎年、各ステージの出演者の中から豪華ゲストが飛び入りすることで有名。

ROUTE 17 Rock’n’Roll ORCHESTRA:
池畑潤二(Dr)を筆頭に、苗場音楽突撃隊の松田文(Gt)、井上富雄(Ba)他、フジロックに馴染みの深いアーティストが集結した豪華編成のスペシャルバンド。過去には仲井戸CHABO麗市,甲本ヒロト,トータス松本,TOSHI-LOWなども参加した。


FUJI ROCK FESTIVAL ’16 オフィシャルサイト
http://www.fujirockfestival.com/

JUNZI IKEHATA
池畑潤二 1958年生まれ、福岡県北九州市出身のドラマー。1975年、大江慎也と「薔薇族」に在籍。1979年「人間クラブ」の結成に参加し、ヴォーカルの南浩二が脱退する形で「ルースターズ」を結成。1983年、ルースターズを脱退。その後は主にセッション・ドラマーとして活動しながら、布袋寅泰、山下久美子、吉川晃司、浅井健一、トータス松本、椎名林檎等のレコーディング・ライブサポートを務めた。現在はRock’n’Roll Gypsies、SION、HEAT WAVE、中島美嘉のバンドプロジェクト「MIKA RANMARU」に参加。

RollingStone Japan 編集部

最終更新:6/16(木) 18:00

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