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玄冬の門をくぐったら、孤独の楽しみを満喫する

BEST TIMES 6/17(金) 18:00配信

五木寛之氏の最新刊『玄冬の門』から、「元気に老いる」ための7つのすすめ紹介する3回シリーズ。2回目の今日は、3「再学問のすすめ」、4「妄想のすすめ」、5「趣味としての養生のすすめ」の3つのすすめを、本書から抜粋してご紹介します。

3.再学問のすすめ

《高齢になって新しいことを学ぶというのもすごく大事なことです。
 私はいま『再学問のすすめ』という本を書こうとしているところです。福沢諭吉は、若い人たちに「学問をしろ。出世も何もすべて学問次第だ」と説いたけれども、私の「学問のすすめ」は高齢者のための「すすめ」です。つまり、人生を一回リセットして、全然違うことを勉強する。
 誰もが何かの職業に就いて生きてきたわけだけれど、それは子供のときから夢見た職業とは違ったかもしれない。そういう場合に、今度は長年親しんだ職業とは縁もゆかりもない分野のことを勉強してみるのです。例えば、考古学をやってみるとか、学校に聴講生として通ってみる。いまは社会人のための講座もたくさんありますから、そういうふうにもう一遍学問することはすごく大事だし、面白いことだと思いますね。
 (……)
 社会人のための特別講座とか、大学でも結構、年配の人たちが集まる授業がありますから、いくらでもチャンスはあります。学生の頃は、休講になると喜んでいたけれども、あとで勉強しだすと、休講になると本当に腹が立つのですね。勉強って、こんなに面白いものかと驚きました。五十過ぎて、先生が黒板に書いていろいろ話したりするのを聞くのは本当に感動する。ですから新入生のつもりでどこかへ学びに行くというのも一つの道ですよね。
 移動さえできれば、学ぶときは席に座るなりでいいわけだから、遊行期になってもできます。
 ですから、ある種の痴呆になって徘徊するというのではなくて、自主的に徘徊するというのが遊行期の大事なことだろうと思います。》

4.妄想のすすめ

《独りで生きるということ、孤独の中で生きるということは、ある意味では辛いことです。耐えないといけないし、孤独感が身に沁みるときもあるだろうと思います。それは納得して乗り越えていかないといけない。そこから得られる自由のほうが大事なのだという覚悟が必要です。まわりの絆を不自由に感じて生きているよりは、自由に生きたいということです。これまで家畜のように暮らしていたのが、放たれるというような感じですね。
 昔の中国では、ある年齢に達すると、老人はアヘン窟に行く人が多かった。高齢の老人がゴロゴロしながらキセルでアヘンを吸っている。ずっとアヘンを吸うと食欲がなくなって、枯れるようにしてそこで死んでしまう。それは、ある意味で良いかたちの楢山だと思います。羽化登仙というか、うっとりと陶酔しながら、気持ち良く死んでいけるわけですから。アヘン窟というのは一種のマイナス尊厳死の施設だったと言っていいと思います。
 高齢者にとっての幸福感というのは、精神世界というか、空想なり妄想の世界に遊ぶということです。それが、ものすごく大事だと思うのです。先ほど言った、アヘン窟でアヘンを吸っている人たちというのは、人工的にそういう世界をつくっているのだと思いますが、それと同じように、自分で空想の幅を広げていく。空想の中でなら、どんなに恋をしようと不倫をしようと、何の文句もないわけだから、想像力の翼を無限に広げて、妄想に遊ぶということはすごく面白い。「妄想に遊ぶ」というのは悪いことのように思われるけれども、そうではないです。なにも人に害を及ぼすわけではないですから。》

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最終更新:6/22(水) 13:03

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