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食べログの書き込みが裁判沙汰になった本当の理由(及川修平 司法書士)

シェアーズカフェ・オンライン 6/17(金) 4:49配信

先日、飲食店の口コミサイト「食べログ」について、投稿された店の経営者が削除を求めて争いとなっていた裁判で、最高裁判所は削除を認めないとする判決を出したと報じられた(「食べログ」情報削除認めず 最高裁で判断確定 産経新聞 2016/06/02)

この件は、一見すると、飲食店側はどのような書き込みがあったとしても、それを甘んじて受け入れるべきだという判決のように読めるが、そうではない。

裁判で争われたのは、「店舗情報そのもの」を削除するべきかどうかで、「個別の書き込みの内容」を削除するかどうかということではなかった。

これは実は大きな差で、根拠のない悪質な書き込みが何でも許されるというわけではないので要注意だ。

■裁判で争われたものは?
裁判では、訴えた飲食店側から「いつ、いかなる形で本件店舗の情報を発信していくかの自由を害され、原告の営業権が侵害された」との主張ながされた。

これはどのような主張かというと、口コミサイトに載せるかどうかのコントロール権はあくまで店側にあるべきだ、店側が掲載をやめたいと言えばサイト側はそれに従うべきだ、というものだ。

これに対して、札幌地方裁判所は「原告の飲食店は広く一般人を対象にして飲食店業を行っているのであるから、個人と同様に情報をコントロールする権利を有するものではない。飲食店側が望まない場合に、これを拒絶する自由を与えてしまえば、得られる情報が恣意的に制限されることになってしまう」という趣旨の理由を述べて、原告を敗訴させている。

札幌高等裁判所でも「社会的に妥当な口コミであればそれを受け入れるべきだ」という趣旨の理由をつけて原告の主張を退けているが、この度、最高裁判所でもこのような考え方が支持された形だ。

今回の裁判所の判断理由は理解できるものであるが、このような裁判が起こる背景をもう少し考える必要がある。

■問題の背景には、一方がやられっぱなしという事情がある
判決文によるとこの事件、発端となったのは、食べかけの写真を投稿されたり「料理が出てくるまで40分くらい待たされた」という趣旨の書き込みがされたりした、ということであったようだ。

当初、飲食店側の主張は店舗情報自体の削除ということではなく、この写真や投稿の削除を求めている。

今回裁判になった書き込みの内容が真実であったかどうかは不明だが、このような飲食店などを評価する口コミサイトの書き込みのなかには、全く事実と異なることや、酷いものになると単なる誹謗中傷に過ぎないものまである。

飲食店は個人事業主であったり中小企業であったりすることが多いだろうが、口コミの内容によって経営が大きく左右されることも珍しくないだろう。

問題は、このような悪質な書き込みがあったとしても、対処はあくまでサイトの一存に委ねられていて、投稿された側としては現実的には取りうる手だてがない、ある意味で一方的にやられっぱなしの状況にあるという点にある。

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最終更新:6/17(金) 4:49

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