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18歳選挙権を「ブーム」で終わらせるな~ステップ・バイ・ステップの主権者教育を始めよう~(後編)

政治山 6/17(金) 16:20配信

世界の約9割で、18歳までに選挙権を付与

 前編では、18歳選挙権の意義とブームについて紹介した。たしかに、18歳選挙権の実現により、若者の政治参加にスポットが当てられ、主権者教育が推進される契機となったのは歓迎すべきことである。国際的に見ても、国立国会図書館の調査(2015)によると、選挙権年齢が判明している世界199の国のうち、18歳までに選挙権を付与している国・地域は全体の約9割に達しているという。

主権者教育の推進は、民主主義社会として大切な一歩

 日本では、18歳選挙権が必ずしも政治的な優先度が高いわけではなかったし、加えて「政治リテラシーの向上と選挙権年齢の引き下げのどちらを優先するべきなのか」という議論もあり、長らく公職選挙法の改正までに至らなかった。

 そうした背景を考えると、“世界の潮流”に乗り遅れていた日本でもようやく18歳選挙権が実現したことは意義深い。また、戦後イデオロギー対立を背景に、教育における政治的中立性が強調された結果とかく敬遠されがちだった政治教育が、「主権者教育」として積極的に取り上げられるようになったことも、民主主義社会として大切な一歩を踏み出したと言える。

小さい頃から、身近な社会の意思決定を通じて育むもの

 しかし、社会がこの一歩で止まることなく「若者の政治参加」を促進し続けていくために必要なのは、18歳選挙権を参院選までの「ブーム」で終わらせないことだ。特に、学校現場における主権者教育に創意工夫を凝らしていくことが大切である。

 では、どんな工夫が求められるのか。そのヒントはドイツの政治教育に見られる「ステップ・バイ・ステップ・アプローチ」という方針にあると思う。この考え方は、小さい頃から身近な社会の意思決定に関わる経験を通じて、徐々に政治リテラシーや社会参画意識を育んでいくというものである。

公園作りや生徒会、子どもの発達段階に応じた参画経験を

 実際に、ドイツでは、子どもたちが公園作りに関わることを規定する条例や生徒会活動を通じて自治体に対する提言を行う事例が多い。もちろん、歴史や文化、社会制度等が異なるドイツの取り組みを日本にそのまま導入することは賢明ではない。

 だが、18歳選挙権の実現に合わせて、高校だけで主権者教育を実施している日本の現状は対処療法的であり、ドイツの考え方も参考にしつつ、子どもが発達段階に応じて身近な社会に少しずつ参画していく経験を積むことでこそ、民主主義社会を形成するために必要な政治リテラシーを着実に身に付けられるのではないだろうか。

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最終更新:6/17(金) 16:20

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