ここから本文です

宮藤官九郎「失敗の経験を照れ隠しができた方がいい」

R25 6/18(土) 7:01配信

人気脚本家として押しも押されもせぬ活躍を見せるほか、映画監督としても活躍。さらには俳優でもありミュージシャンでもある、才気煥発の面白人物だ。今回は、脚本と監督を手がけた4作目の映画『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』に絡めてのインタビュー。面白い人の話は、やっぱり面白いのだ。

地獄を舞台に長瀬智也に思い切り演じてほしかった

「もともと長瀬(智也)くんのために書いた台本だったんです。あんな風に喜怒哀楽をダイナミックに表現できる役者って、今、日本にあんまりいないような気がしていて。場の空気をぱっと掴んで、瞬発力で表現できる人で、日本人離れしていますよね。その長瀬くんに、長瀬くんの好きなロックを題材に、思い切り演じてほしいなと思って」

できた作品が、地獄を舞台にした作品。神木隆之介演じる童貞高校生・大助が事故で亡くなり、地獄に落ち、そこで出会った鬼・キラーKが長瀬智也だ。その風貌たるやほとんどなまはげで、ギターをかき鳴らしてファンの亡者たちを熱狂の渦に巻き込む。

「普通の設定では、僕の好きな長瀬くんの演技がトゥーマッチに見えちゃうだろうと思って、だったらぶっとんだ設定にしちゃえということで、地獄なんです。長瀬くんが鬼ということと、皆川(猿時)くんが女子高生だということは、自分のなかで最初から決まっていました」

亡者が苦しみ抜く地獄の描写はご想像を裏切らないが、どこかほのぼのとしている。キラーKは地獄農業高校の先生で、大助はえんま校長(古田新太)に気に入られて転生するため、文字通り地獄の特訓をするというあらすじ。

「日本人の考える地獄って、ネガティブなイメージですよね。でも地獄を描いた絵本があるように、天国より地獄に興味ある人は多いんじゃないかと思って。あとKISSとかAC/DCとかの歌詞に『ヘル』って出てくるじゃないですか。ロックと地獄は相性がいい。今回は衣装もメイクも美術もかなりこだわりました。大泉学園にあるスタジオでセットを組んだんですけど、近くて便利でしたね。家から30分ですから。通勤圏内に地獄があると便利ですよね」

さらに音楽もかなりの出来映えだ。バンド「グループ魂」でも活躍しているだけのことはある。

「聖飢魔IIとかKISSとか奇抜な扮装で演奏するような過剰な美意識がヘビメタにはある。あんな歩きにくい靴履いて曲間で火を噴いたり、まったく音楽に必要ないことやっているのは笑えるけどカッコいい(笑)。そういう世界観は地獄に合うなと思って選んだんですが、実は、ヘビメタそこまで詳しくないんです」

かくしてヒロイン、ひろ美(森川 葵)との再会&キスを夢見て地獄をたくましく生き抜く(死に抜く?)、ド派手な青春“獄中”ムービーが完成。脚本の面白さは折り紙付きだが、本作に限らず宮藤監督の作品には青春モノが目立つ。いったいななぜだろう。

「自分でゼロからイチを生み出すときには、自分の好きなもの(青春)でなくちゃできない。で、自分の撮る作品だし、もっと好き勝手にやりたいと考えたのが今回の地獄だったんですけど」

映画は“お祭り”!…ときには忘れてほしい作品も

多彩だから、仕事における立ち位置でアレンジを加えることができる。とりわけ、近年は映画に力を入れている。

「大学は放送学科だったんですけど、映画学科にすればよかったと思うくらい、映画が好きです。映画見るのもすごく好きでした。だからこそ敷居が高いし、映画はちゃんとやんなきゃいけないと思っています。1作目(『真夜中の弥次さん喜多さん』)をやったときに、なんか毎日毎日大勢で移動して、そこでバーッと作ってワーッと移動して、結果はフィルムにしか残らない。そういうのがすごくお祭りっぽくて、楽しかったんです。コンスタントにやらないと経験値上がらないから、定期的に挑戦しています」

映画は“やりたいこと”に分類されるが、オファーを受ける様々な仕事に対しても、基本的にはウェルカム。

「新しい仕事は、『やる』というスタンスで話を聞いています。スケジュールがキツくて、クオリティーが保障できないと思ったら断ります。5本作れる時間があったとして、その間に1本しか作らないとしたら、そのことばかり考えてしまうなんて、頭おかしくなりますもん」

かといって、その全てを成功させなければならない…という気概はない。「だっていろいろ褒められど、実は失敗もしてますから」というのは冗談のように聞こえるけど、ある程度本音かもしれない。

「成功を3回続けたら、4回目も当てなきゃいけないじゃないですか。『これは早く忘れてほしいな』っていう作品も時々ある。僕自身も忘れちゃうんですが。『こんなのはもう二度とやりたくない』って思っても、しばらく経つと似たようなことやってますからね。あんまり学習しない人間なのかもしれませんね。いいことしか覚えていない(笑)」

柳井隆平=取材・文/林 和也=撮影

(R25編集部)

※コラムの内容は、フリーマガジンR25およびR25から一部抜粋したものです
※一部のコラムを除き、R25では図・表・写真付きのコラムを掲載しております

最終更新:6/18(土) 7:01

R25

記事提供社からのご案内(外部サイト)

R25[アールニジュウゴ]

リクルートホールディングス

特別号は随時発行。編集部の
お知らせなどで告知予定

0円

[特集テーマ]更新中!
・会社では学べない!ビジネスマン処世術
・お得に、スマートに、マネー得々大学院
・恰好いいパパに!オトコの子育て道場

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

北朝鮮からの脱出
北朝鮮での幼少時代、『ここは地球上最高の国』と信じていたイ・ヒョンソだったが、90年代の大飢饉に接してその考えに疑問を抱き始める。14歳で脱北、その後中国で素性を隠しながらの生活が始まる。 これは、必死で毎日を生き延びてきた彼女の悲惨な日々とその先に見えた希望の物語。そして、北朝鮮から遠く離れても、なお常に危険に脅かされ続ける同朋達への力強いメッセージが込められている。