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A.B.C-Z橋本良亮&河合郁人が見せた新しい「顔」ーー音楽劇『コインロッカー・ベイビーズ』レポ

リアルサウンド 6/18(土) 6:10配信

 A.B.C-Zの橋本良亮と河合郁人が主演を務める音楽劇『コインロッカー・ベイビーズ』が、2016年6月4日より赤坂ACTシアターにて上演をスタートしている。その評判は上々である。原作者の村上龍氏のファンや演劇ファンなのだろうか。観劇者はジャニーズファンの女性だけではなく、男性や年配の方々の姿も少なくない。約2時間の舞台のため、端折ってある部分はあるものの原作に忠実と言っていい内容であることも、好評である理由の1つだろう。他に、どんな部分がこの舞台の魅力となっているのだろうか。今回は、A.B.C-Zの2人に焦点を当てて考えてみたい。

 まず一つ目は、橋本と河合がより本格的な演劇の世界に足を踏み入れたことだ。これまでも2人は様々な舞台経験を積んできており、『ABC座』、『JOHNNYS' World』などでは、A.B.C-Zとして座長を務めるほどである。個人でも橋本は、『Dream Boys』や『滝沢演舞城』などに出演し、2014年の『ルードウィヒ・B』では主演に抜擢。河合も『滝沢演舞城』、『ルードウィヒ・B』などに出演し、『ファウスト』で主演を務めている。しかし、彼らが出演する舞台は、「ジャニーズ」のイメージを打ち出した「見ていて楽しい」作品や、彼らの性格を活かした作品である傾向が強かったと思う。言ってしまえば、アイドルである彼らなら、自然と演じることができる作品が多かったのだ。だが、『コインロッカー・ベイビーズ』の作風はこれまでとはガラリと違う。そこに挑戦したことで、演劇の世界へ深く足を踏み入れたと言えよう。そして、これまでにない挑戦をしていく様が見られることは、ファンにとっても大きな魅力になるはずだ。

 橋本・河合の演技の幅の広がりにも注目だ。V6 森田剛の『血は立ったまま眠っている』やHey! Say! JUMP 八乙女光の『殺風景』にも見られるように、ジャニーズメンバーが出演する外部舞台は、“狂気と悲しみ”が含まれる作品も目立っている。今回の『コインロッカー・ベイビーズ』も例外ではない。これまでハッピーでファンタジー色が強い作品への出演が多かった橋本と河合は、ハシとキクというキャラクターを相当作り込んできた印象だ。約1年半前に2人揃って出演した『ルードウィヒ・B』の演技と比べて、随分と表現力が増していると感じる。

 とは言え、「セリフや表情での演技力」はまだまだ伸びしろを感じる部分が少なくない。しかし、「体を使った演技力」という視点ではどうだろうか。例えば、舞台初盤では背筋を伸ばし瑞々しい印象があった橋本だが、精神が崩壊していくにつれて身体が丸まっていく。「体を使ってこう見せよう」という意図が上手く表現できていると思うし、使い方の塩梅も絶妙である。さらに、多くの舞台をこなしてきているため声の張りもよく、枯れもしない。歌の歌詞も聞き取りやすい。そういった点でも、彼らが持っている身体能力を活かした演技ができていると感じた。

 橋本と河合が演じる、ハシとキクというキャラクターは、ギラギラしていて不安定。絶望を抱えているかと思えば、しっかりとした強さも持っている。そんな設定だ。芸歴はありつつも、若手として活躍し始めたばかりの橋本良亮と河合郁人という2人に、重なる部分があるのではないだろうか。『コインロッカー・ベイビーズ』の最後、ハシもキクも開放されたように、この舞台をきっかけに橋本と河合の魅力も開放されることを切に願う。

高橋梓

最終更新:6/18(土) 6:10

リアルサウンド

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