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マリメッコを生んだのは強くて繊細な女性でした。

Casa BRUTUS.com 6/19(日) 22:10配信

グラフィカルなテキスタイルで有名な〈マリメッコ〉の創設者アルミ・ラティアの半生に迫る映画が公開です。

北欧を代表するテキスタイルブランド〈マリメッコ〉。その創業者であるアルミ・ラティアのドキュメンタリー映画だと思い観覧すると、マリメッコのイメージが明るく快活なゆえに、その内容に正直違和感を感じる方もいるかもしれない。たがその内容は実に興味深く、何度も見たくなるような要素にあふれている。

まず監督でもあるヨールン・ドンネルはマリメッコの役員を務めていた人物で、近くで接していた彼だからこそ描くことができたアルミの愛情あふれる人物像が興味深い。時にワガママで常軌を逸していると思われるようなアルミの言動だが、それは彼女が「生きる」ことに対して全力で行動した結果であり、その姿は儚くも美しく感じられる。まだ女性の社会進出が珍しかった1950年代に、フィンランドという国のイメージさえも一新してしまったマリメッコを立ち上げた彼女は、繊細さを抱えつつも自分自身のクリエイションを信じ突き進む。仕事を愛し、人を愛したアルミは、その深い愛情の見返りを求め常に苦しんだが、その役柄を演じる女優ミンナ・ハープキュラの葛藤も描かれているのも非常に興味深い。映画の最後にアルミが話す言葉は、彼女の思いなのか、ミンナの思いなのかわからないほどにシンクロする。

劇中劇でも語られていたアルミが夢見た「マリメッコ村」は残念ながら実現しなかったが、世界中にあるマリメッコストアにはアルミの思想があふれていて、我々マリメッコファンはその意思を無意識に感じ取り、もっと大きな形で「マリメッコ村」は実現したのではないだろうか。

そして、この映画のもうひとつの魅力、劇中で使用されるテキスタイルや洋服のデザインは、新旧の名作が融合されており、創業当時から変わらない思想の賜物たちを目で楽しめる。決して明るい映画ではないが、この独特のトーンは私の知る美しいフィンランドそのもので、見終わるころにはヘルシンキの街が恋しくなった。

『ファブリックの女王』

戦後間もない1951年、フィンランドで、ファブリックブランド〈マリメッコ〉を立ち上げた女性、アルミ・ラティアの波瀾万丈な人生を描いた作品。ヒューマントラストシネマ有楽町など全国で上映中。(c)Bufo Ltd 2015

text_Shoichi Tamaru editor_Wakako Miyake

最終更新:6/19(日) 22:10

Casa BRUTUS.com

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

北朝鮮からの脱出
北朝鮮での幼少時代、『ここは地球上最高の国』と信じていたイ・ヒョンソだったが、90年代の大飢饉に接してその考えに疑問を抱き始める。14歳で脱北、その後中国で素性を隠しながらの生活が始まる。 これは、必死で毎日を生き延びてきた彼女の悲惨な日々とその先に見えた希望の物語。そして、北朝鮮から遠く離れても、なお常に危険に脅かされ続ける同朋達への力強いメッセージが込められている。