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東証と経産省が共同で選定した「攻めのIT銘柄2016」って何?

HARBOR BUSINESS Online 6/19(日) 9:10配信

 2016年6月9日、東証および経済産業省が共同で、昨年度に続き、第2回目として「攻めのIT経営銘柄2016」26社を選定・公表した。 (出典:「攻めのIT経営銘柄2016」の公表について」)

 「攻めのIT経営銘柄2016」選定企業26社は、以下の通りである。

  東証の上場会社の中から、中長期的な企業価値の向上や競争力の強化といった視点から経営革新、収益水準・生産性の向上をもたらす積極的なITの利活用に取り組んでいる企業が「攻めのIT経営銘柄」として選定されている。

 東証および経済産業省は、“ITの急速な進展により、産業構造やビジネスモデルがかつてないスピードで変革する中、我が国企業が国際競争を勝ち抜いていくためには、従来の社内業務の効率化・利便性の向上を目的としたIT投資にとどまることなく、中長期的な企業価値の向上や競争力の強化に結びつく戦略的な「攻めのIT投資」が重要と考えらえます。”としている。

◆どういう基準で選ばれた?

「攻めのIT経営銘柄2016」の評価項目は、以下の5つの項目である。

I.経営方針・経営計画における企業価値向上のためのIT活用

(例)経営方針及び経営計画におけるIT活用、IT統括責任者の位置付け 等

II.企業価値向上のための戦略的IT活用

(例)企業価値向上のためのIT活用の取組内容とその成果 等

III.攻めのIT経営を推進するための体制及び人材

(例)IT戦略の立案・推進・評価する体制の構築状況、人材育成状況 等

IV.攻めのIT経営を支える基盤的取組み

(例)経営者のITリスクへの認識、システム維持管理・改善への取組状況 等

V.企業価値向上のためのIT投資評価及び改善のための取組み

(例)IT投資の評価ルール・プロセス・PDCAの実践状況 等

上記5項目をスコアリングするとともに、財務状況によるスクリーニングを行い、最終的に26社が選定された。

<選定基準>

①:アンケート調査回答のスコアが一定基準以上であること

②:直近3年間の平均ROEが業種平均以上であること

③:重大な法令違反等がないこと

 上場企業約3500社から26社が選定されたと言いたいところであるが、実際は、上記アンケート調査に回答した347社から選定されている。

◆攻めのIT経営の取り組み事例

 選定された26社から、攻めのIT経営の取り組み事例として、二つ紹介したい。

・エフピコ

CVS、スーパーマ-ケット等で使用される合成樹脂製簡易食品容器の製造販売を行っているエフピコは、製品をケース単位で出荷するだけでなく、チェーンストア向けのビジネスとして全国12拠点の「ピッキングセンター」から食品容器・トレーと、これに関連する包装資材・消耗品等を小分け詰め合せし、出荷する事業を展開しているが、ピッキングセンターで「現場に合ったカスタマイズを加えた音声ピッキングシステム」を開発し展開した。また、生産工場2箇所において、産業用ロボットをパイロット導入し、生産工程の省人化・自動化に取り組み、多品種の食品容器に対応するため、産業用ロボットの改良を重ねた結果、包装工程の自動化を実現した。

・日本航空

JALグループは「お客さまに最高のサービスを提供する」ことを企業理念の中に掲げ、日々各種サービスの充実に取り組んでいる。航空機内におけるインターネット接続サービスを衛星通信により導入している。2016年4月末時点では国際線と国内線を合わせて合計95機にてサービスを提供しており、これらの取り組みの結果、「2015年度JCSI(日本版顧客満足度指数)第4回調査結果」の国際航空部門「ロイヤルティ(再利用意向)」「顧客満足度」にて第1位の評価を得た。そのほかの事例としては、従来国際線と国内線で分かれていた座席予約管理業務について、業務プロセスを統合し、需要予測と予約状況に応じて最適な価格で販売する座席数をタイムリーに計算できるシステムに刷新した。

◆「攻めのIT経営銘柄2016」の実力は?

 「攻めのIT経営銘柄2016」に選定された企業の株価のパフォーマンスはどうか?

 「攻めのIT経営銘柄2016」を構成銘柄として、各銘柄に等金額投資した際の運用パフォーマンスは、2005年1月を起点として2016年1月までの期間を取ると、日経平均を上回っていることがわかる。

 このように、積極的なITの利活用に取り組んでいる企業は、中長期的な企業価値の向上や競争力の強化といった視点から経営革新、収益水準・生産性の向上をもたらし、それが投資家からベンチマークのひとつである日経平均よりも高く評価されていることを示している。

「従来の社内業務の効率化・利便性の向上を目的としたIT投資にとどまることなく、中長期的な企業価値の向上や競争力の強化に結びつく戦略的な「攻めのIT投資」が重要と考えらえる」ということは、10年前も識者から指摘されていた事項であるように、筆者は記憶している。当時は、「攻めのIT投資」をしている企業は少数であったと思われるが、ようやく、ここに来て、「攻めのIT投資」が企業経営者により現実に取り組むべき事項として認識されるようになったのかもしれない。

<文/丹羽 唯一朗>

ハーバー・ビジネス・オンライン

最終更新:6/19(日) 9:10

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