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カープ、25年ぶりのVへ追い風となる2つの要素――鈴木誠也のブレイクとジョンソンの残留

ベースボールチャンネル 6/20(月) 6:50配信

若鯉が4年目の本格ブレイク

 広島の快進撃が止まらない。セリーグの中で唯一貯金を積み重ねながら首位を快走している。交流戦も11勝6敗でセリーグトップの3位で終了。この期間中、波に乗るチームにさらなるいい流れを運び込んだのは大きく見て投打における「2つのプラス要素」があったからだろう。

 まず「打」では何と言っても、鈴木誠也外野手の大躍進だ。17日、そして18日と本拠地マツダスタジアムでのオリックス戦において2試合連続となるサヨナラアーチを叩き込み、スタンドの赤ヘル党たちを熱狂の渦へと巻き込んだ。同じ選手が2試合連続でサヨナラ弾を放ったのは2012年に当時オリックスだったアーロム・バルディリス内野手(現・韓国三星)以来、日本プロ野球史上10人目。しかも広島の所属選手としては1984年9月15、16日の巨人戦(広島市民)で長嶋清幸外野手が放って以来、32年ぶり2人目の快挙となった。

 そしてさらに19日、同じくオリックスとの交流戦最終戦では、チームが4点差を追い付いた同点の8回の先頭で打席に立つと、勝ち越しの10号ソロ。3戦連発V弾でチームを破竹の6連勝へと導いた。

 もともと二松学舎大附高時代からスラッガーとして定評が高く、特に高校通算43本塁打のパンチ力はプロからも熱い視線を注がれていた。

プロ入り後はまず二軍で当時の内田順三監督(現巨人打撃コーチ)に徹底的に鍛えられ、一軍に定着するようになった昨季からは主に新井 宏昌打撃コーチ(退任)から、そして今季は石井琢朗打撃コーチからの熱心な指導を受けて潜在能力がいよいよ開花。

 広島の大物OBたちが以前から口々に「あの誠也が試合を決めるような形になれば、カープの強さは間違いなく本物になる」と太鼓判を押していたが、それがついに現実のものとなってきたようだ。

メジャーも注目していたジョンソンの去就

 もう1つ。忘れてはならない「投」のプラス要素にはフロントの『超ファインプレー』が挙げられる。球団側が今月4日に左腕エースのクリス・ジョンソンと新たに3年契約を結んだと電撃発表したことだ。

 シーズン中の契約延長は異例中の異例と言っていいだろう。しかも各メディアの報道によれば、年俸は175万ドル(約1億8000万円)増の300万ドル(約3億100万円)でこれに年間最大1億5000万円の出来高も加わり、3年総額で15億円を超える破格契約となったという。

 ジョンソンは来日1年目の昨季、最優秀防御率のタイトルを獲得。開幕投手を務めた今季もここまで12試合に投げてハーラー単独トップ8勝の野村祐輔に次ぐ7勝をマークし、防御率2.098と力投を続けている。これだけの好待遇を球団側が用意するに十分値する優良助っ人であることは誰の目にも疑いようがない。

 現場も助っ人左腕の残留決定に大きく胸を撫で下ろしたはず。何を隠そう、今季で契約が切れるジョンソンにはメジャーリーグも非常に強い興味を示していたというのだ。

 複数の球団は登板日に合わせ、各球場のスタンドに極東担当スカウトを送り込むなど完全な本気モード。広島入団当初からジョンソン自身も各メディアに将来的なメジャー復帰の希望があることを公言していたことから、契約の切れる今オフに争奪戦がぼっ発する可能性は大きかった。それを未然に食い止めることができたのだから、カープの面々にとって万々歳であることは当然だ。

 もしかすると今オフにチームから「サヨナラ」してしまうかもしれない――。

 そんな余計な心配が残っているよりも来季以降、新たにまた身も心もカープに捧げる決意を胸にしてくれた助っ人のほうが、ともに戦う気持ちが強まるに決まっている。球団側と3年の長期契約を締結したジョンソンの覚悟と男気が赤ヘル軍団の士気を再び高まらせたのだ。

 ちなみに、このジョンソンの残留決定にはあるメジャーの極東担当スカウトがこんな本音を口にしていた。

「ジョンソンがこの時期に日本残留を決めたことは、彼の獲得に興味を示していたメジャーリーグの球団の間でも大きな驚きとしてとらえられている。カープはどんな作戦を練ったんだ? こっちがそれを知りたい」

 鈴木のブレイク、そしてジョンソンの残留。広島に25年ぶりのリーグVを呼び込むプラス要素となりそうな予感がする。



臼北信行

ベースボールチャンネル編集部

最終更新:6/20(月) 6:50

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