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アジア化粧品市場を席捲! 韓国アモーレパシフィックの快進撃

Forbes JAPAN 6/20(月) 13:00配信

アジア市場で、韓国の化粧品大手アモーレパシフィックが快進撃を続けている。ナチュラルな素材を生かした商品を武器に、欧米市場攻略に向けてアクセルを踏み込む。



2015年、フォーブス・アジアの「ビジネスマン・オブ・ザ・イヤー」に選ばれたのが、韓国最大の化粧品メーカー「アモーレパシフィック」会長の徐慶培(ソ・キョンベ)だ。

同社の製品はアジア圏の女性から絶大な支持を集め、中国での売り上げは4年間で3倍以上に増加。14年には約4億5,000万ドル(約495億円)を売り上げた。化粧品市場はグローバルでは年間約1.6%の成長だが、同社の売り上げは前年比で約21%増加。アナリストらはその売り上げが16年には58億ドルに達すると見込む。

「私の夢はアジアの美で世界を変えることです」と52歳の徐は話す。資産額92億ドルの彼はサムスン会長の李健熙(イ・ゴンヒ)に次ぐ大富豪としても知られている。

アモーレパシフィックは、徐の父が70年前に創業した。同社の急成長は一見すると、近年アジアを席巻する韓流ブームに支えられたものに見える。いまや上海からジャカルタまで、アジアの中間層の女性らは韓流ドラマを視聴し、Kビューティに憧れる。韓国の化粧品輸出額は2年間で95%成長し、14年には16億ドルに達した。

しかし徐に言わせると、アモーレパシフィックの成長は、韓流ブームに便乗したものではない。ブームの恩恵を受けた面もあるが、当初は独力で市場を切り開いたのだと彼は主張する。

「中国に進出したのは韓流ブームの前でした。当時からアジアで勃興する中間層に優れた製品を届けたいと思っていました」

徐が目指す、究極のゴール-。それは、同社が世界ナンバーワンの化粧品会社になるという野望だ。「我々はまだ入り口に立ったに過ぎません」

韓流ブームの「次」を見据える世界展開への野望

韓国のポップカルチャー隆盛の起源は、97年のアジア通貨危機にさかのぼる。大打撃を受けた韓国は同年、IMF(国際通貨基金)の管理下に入り、救済を受ける事態になった。韓国にとって屈辱的な出来事だったが、それが時代遅れの業界を切り捨てる好機となった。その一方でクリエイティブ産業が開花し、「ソフトパワー」を生み出した。

徐が父からアモーレパシフィックの経営を受け継いだのは、そんなアジア通貨危機の真っただ中にあったころだ。事業承継後、徐はただちに事業改革に乗り出した。同社の市場は当時、ほぼ韓国国内に限られており、女性販売員が各家庭に訪問販売する古いビジネスモデルだった。
--{ナチュラルを武器に欧米ブランドを追撃}--
これに対して徐は、製品ラインナップの多様化を打ち出し、ブランド力を強化。同時に中国市場に進出し、2002年に上海に新たな拠点を設けた。

「韓流ブームに気が付くと即座に対応しました。ドラマに当社の製品を登場させ、キャンペーンには人気の女優やモデルを起用。14年の大ヒットドラマ『星から来たあなた』では、主演のチョン・ジヒョンに当社の『IOPE(アイオペ)』の口紅をつけてもらった。この口紅は、ドラマがオンエアされると、アジア各国の店頭で品切れになりました」

現在、同社の海外市場での売り上げの半分以上を中国が占めるが、すでにシンガポール、マレーシア、タイ、ベトナム、インドネシア等、14カ国に事業を拡大している。

市場拡大と同時に、商品開発にも力を入れる。近年の同社の主力商品のひとつが「クッションファンデ」。日焼け止め、化粧下地、保湿、ファンデーションなどの機能をひとつにまとめたマルチ機能を備え「テクノロジーコスメ」の代名詞となっている。韓国で累計1,500万個を出荷し、韓国女性の2.4人に1人が使用している。

「13年には上海の研究開発拠点で、中国市場に特化した商品開発も始めました。これらの商品は、もし韓流ブームが終わっても消費者をつなぎとめるでしょう」

ナチュラルを武器に欧米ブランドを追撃

徐はいま、アジアを超え、米国やヨーロッパの市場を見据えている。10年にはニューヨークの高級百貨店「バーグドルフ・グッドマン」でプレミアムラインの「雪花秀(ソルファス)」の販売を開始。14年には全米でチェーン展開する大手ディスカウントストア「ターゲット」で「LANEIGE(ラネージュ)」シリーズを発売した。

しかし、米国における同社の売り上げは、年間わずか3,300万ドル程度にとどまる。「現状では弊社の米国での顧客は、韓国系や中国系のアメリカ人に限られます。米国のマーケットは想像以上にタフで、まだまだ試行錯誤の段階です」と徐は話す。

韓流ブームが及ばない土地に、どう切り込むのか。「今、コスメ業界のキーワードはナチュラルです。当社は創業以来、天然素材をベースにした商品をつくってきました。そうしたメッセージは、アメリカでも響くはずです」

アモーレパシフィックの挑戦はまだ始まったばかりだ。

Forbes JAPAN 編集部

最終更新:6/20(月) 13:00

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