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ただごとでは済まない三菱UFJ銀のPD資格返上

JBpress 6/20(月) 6:10配信

 財務省を頂点に形成されてきた国債市場の厳格なヒエラルキーに綻びが見え始めた。三菱東京UFJ銀行が、有利な条件で国債の入札に参加できる「国債市場特別参加者」(PD:プライマリーディーラー)の資格を国に返上することが明らかになったからである。

 日本の金融行政はかつて護送船団方式と呼ばれ、市場メカニズムとは遠くかけ離れた場所にあった。PDによる国債消化の仕組みはその名残りともいえる。

 三菱UFJ銀行の離脱によって、すぐに国債の消化に問題が起きるわけではないが、将来的な金利上昇リスクは高まったとみてよいだろう。

■ 財務省を頂点とした特権クラブ

 プライマリーディーラー制度は、国債の消化を最優先することを目的に導入された特殊な制度である。プライマリーディーラーの資格を持つ金融機関は、国債の入札について財務省と情報交換できる一方、すべての入札で発行予定額の4%以上の応札が義務付けられている。

 情報交換というともっともらしいが、何のことはない、儲かることを保証する代わりに、国債の応札にノルマを課し、国債消化を確実にする役割が暗に求められている。これは一種の談合に近いシステムといってよい。

 かつて日本における国債の発行市場は、大蔵省(現財務省)を中心に参加者の合議で価格を決めるシンジケート団が取り仕切っていた。その後、市場メカニズムへの移行が実施され、シンジケート団による国債の引き受け制度は廃止された。しかし、PD制度という新たな仕組みが導入されたことで、実質的にはシンジケート方式による国債消化に近い形が温存されている。

 この制度が従来の枠組みを引き継いでいることは、本来、債券ディーラーではないはずのメガバンク各行が、プライマリーディーラーの資格を保有していることからも伺い知ることができる。

 日本政府から国債を引き受け、機関投資家に販売する役割を持つPDは、流動性を確保するために存在しており、自身が投資家として積極的に国債を長期保有するわけではない。財務省から国債を引き受けたPDは利益を上乗せして機関投資家に転売することで利益を得る。

 つまりPDは、最終的に国債を購入する投資家がいる限り、確実に利益を出すことができる。一方で、政府による国債発行のタイミングや機関投資家のニーズをうまく調整し、需給のバランスが崩れないようにうまく取引しなければならない。

■ PD離脱の直接的な理由はマイナス金利政策

 こうした役割は通常、証券会社が担うことになるのだが、日本の場合、少し様子が異なっている。現在、PD制度の資格を持つ金融機関は22社あるが(三菱UFJ銀行が抜ければ21社になる)、この中にはメガバンク3行が含まれている。

 メガバンクは、本来、国債を購入する機関投資家であって仲介事業者ではない。つまり売り買いの間に入る事業者が国債の最終的な買い手を兼務している状態であり、市場の透明性を考えた場合、あまり望ましい状況とはいえない。理屈上、メガバンクは自社に有利になるように価格を調整することができてしまうからである。

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最終更新:6/21(火) 7:15

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