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「英国はEU離脱なら経済的打撃大」との主張に異議あり

会社四季報オンライン 6/20(月) 19:06配信

 欧州連合(EU)離脱の是非を問う英国民投票が23日に迫っている。足元は残留支持派が再び勢いを取り戻した感があるが、ここまで離脱を支持する声が高まってきた背景には何があるのか。長期間の英国在住経験があり、同国事情にも詳しいエコノミストの浜矩子・同志社大大学院教授に聞いた。

 国民投票という形でEU残留か離脱かを問わなければならないのは、統合欧州プロジェクトの中でイギリスの居心地が悪いことの表れにほかならない。1973年のヨーロッパ共同体(EC)加盟の際にも、イギリスは強い難色を示した経緯がある。

 「グレードブリテンおよび北アイルランド連合王国」という国名はイングランド地方の人たちが後から付けたもの。同地方がリードするイギリスは通商政策などの面で「大陸欧州」と異なる論理で動いている。統合欧州では異質の存在なのだ。「一つのヨーロッパ」にイギリスが取り込まれることに対する違和感がここへきて表面化した感が強く、非常に根の深い問題である。でなければ、国民投票など行わなくても済んだはずだ。実際、ほかのEU加盟国で離脱か否かをめぐる国民投票が実施されたケースはない。

 イギリスで離脱をめぐる議論が活発化したきっかけはユーロ危機だ。ヨーロッパ委員会主導の財政の規律や財政政策に従わなければならないという部分が前面に出ると、イギリスにとって最大のお宝といえる金融センターの「シティ」にも悪影響が及ぶとの見方が国内に台頭。そうした中で極右的な国家主義者の無茶苦茶な論理も幅を利かせるようになり、その結果、離脱派の主張が広く受け入れられるようになった。彼らは「イギリスはEUの一員でなければ、もっと楽に暮らすことができる」と考えている。

 加えて、イギリス人は元来、あまのじゃく。「右へ行け」と言われると左へ行きたがる傾向が強い。アメリカのオバマ大統領や安倍総理の残留支持表明は離脱派を勢いづかせてしまった可能性がある。

 大企業が多く名を連ねるイギリス産業連盟(CBI)は現段階でEU残留を求めているが、中小企業の団体にははっきりと離脱支持を表明しているところもある。欧州委員会の行政機関が細かい点にまで口を挟むことへの抵抗感が根強い。

 残留支持派は雇用が失われる、あるいは輸出がやりにくくなる、といった離脱のデメリットを列挙しているが、ユーロ加盟国ではないし、EUの対外的な関税障壁は一時期に比べてもはや高いものでなく、イギリスの経済に決定的なダメージを与えるとは言い切れない。かつてのように関税障壁が高ければEUに入る魅力がある一方、出ることをためらうかもしれないが、グローバル化が進んだ現在の状況を踏まえれば、問題の本質はそこにはない。

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最終更新:6/24(金) 13:51

会社四季報オンライン

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