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「紫野和久傳 丸の内」で堪能する 京都の料亭の“おもたせ”の上品な味

CREA WEB 6/20(月) 12:01配信

京都の料亭「和久傳」が開いた“おもたせ”の専門店

紫野和久傳 丸の内 茶菓(東京・丸の内)
甘味:笹ほたる、西湖と希水のセット、山椒あいす

 紅毛氈の縁台に野点傘。日本情緒溢れる佇まいが丸の内のビルの谷間に映える「紫野和久傳 丸の内」は、京都の料亭「和久傳」が2003年に開いた“おもたせ”の専門店です。

 一歩中に入れば、店内の空気感はまるで京都。じゅらく壁をめぐらせた和の空間は清々しく静謐で、きびきびとしていながらも丁寧な所作で応対してくれる店員さんは着物姿です。

 店内に入ってすぐ正面は、「紫野和久傳」を代表するれんこん菓子「西湖」や「季節の羊羹」など、風流な和菓子がショーケースに並ぶ物販コーナー。左手のカウンターと奥のテーブル席は2013年秋のリニューアル時に生まれた、つくりたての甘味をイートインできる茶菓席です。

 床の間を設えたお座敷の2辺を囲むカウンター席に座れば、まるでお茶の立礼席に着いたかのように気持ちが落ち着きます。

涼やかに夏を愛でる水ようかん「笹ほたる」

 風流な雰囲気も素敵な茶菓席で味わいたいのは、四季折々の「あかり」を表現した「季節の羊羹」。たとえば夏の羊羹「笹ほたる」では、切った時の切り口で、笹の上に止まるほたるが表現されています。「笹」の部分はじっくりと炊き上げた国産白小豆とお抹茶の水ようかんで、「ほたる」(の光)の部分はほうじ茶のゼリー。黒文字で切って口に運べば、上品なあんの甘さと抹茶の味わいがなめらかに広がります。続いて現れるのが、ほうじ茶ゼリーのつるりとした食感。さりげなくも絶妙なアクセントです。

 2013年に茶菓席ができる以前は、1棹購入しないと味わえなかった「笹ほたる」。ここで気軽に1切れを味わえるようになったのは、うれしい限りです。

紫野和久傳を代表する、ささのか菓子「西湖」と「希水」

 茶菓席では、お菓子を通して料亭の感性に触れられるのも楽しみのひとつです。たとえば「西湖」や「希水」などの笹の葉に包まれたお菓子は、わずかに白地がのぞく織部の縁高の器に盛りつけられ、まるで静物画のような美しさ。

 西湖や希水は平皿の上で笹の葉をほどくと葉っぱがお皿の真横にはみ出してしまいますが、縁の高い器に盛ると葉っぱが斜め上に逃げてくれるので、いただいている時も視覚的に落ち着きます。

 そもそも「西湖」は、かつて料亭「和久傳」の食後の甘味として作られ、おもたせの店「紫野和久傳」が生まれるきっかけとなったお菓子。笹の葉の上でなめらかなお菓子を切って口に入れれば、つるんととろけ、和三盆のやさしい甘みが広がります。その食感はわらび餅に似ているものの、材料は蓮の根から採れるでんぷん。菓名の「西湖」とは、蓮の花が浄土のごとく咲き誇る、中国の美しい湖のことなのだとか。

 一方、2009年に登場した「希水」は、笹の葉とりんごのエキスをオオバコのでんぷんで固めた夏限定のお菓子。笹の葉の清々しい香りと、ふるふるの食感が魅力的です。菓名の「希水」とは、竹の節と節の間に生じる希少な水のこと。その情景を想像すれば、夏の暑さも一瞬忘れられそうですね。

 ガラスの蓋付きの器に盛られて登場する「山椒あいす」も、一目で体感温度が下がるような涼感溢れる佇まい。ミルキーな甘さと山椒の風味がそこはかとなく広がる「あいす」は、西洋のアイスクリームとはどこか異なり、口当たりも甘さもやさしく控えめです。聞けば、材料のジャージー牛乳と山椒は丹後産。そして京丹後市は、明治3年に料理旅館として「和久傳」が創業した場所なのだとか。

 甘味を味わいながら歴史に思いを馳せられるのも、老舗のよさというもの。丸の内でほっこりしたい午後には、「紫野和久傳 丸の内」がおすすめです。

紫野和久傳 丸の内 茶菓
所在地 東京都千代田区丸の内3-3-1 新東京ビル1F
電話番号 03-3210-0020
営業時間 平日 11:00~17:30(L.O. 17:00)、土日祝 11:00~18:00(L.O. 17:30)
定休日 無休(年末年始を除く)
URL http://www.wakuden.jp/tenpo-maru-chaka/

小松めぐみ (こまつ めぐみ)
東京都生まれ。食い道楽の親の影響で、10代半ばにして料理に目覚める。大学卒業後、出版社勤務を経てフリーランスに。2000年に独立し、主に雑誌で飲食関連の記事を編集している。

小松めぐみ

最終更新:6/20(月) 12:01

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