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キスマイ横尾、SMAP、TOKIO、V6……ジャニーズ「料理男子」が増えている理由

リアルサウンド 6/21(火) 7:00配信

 「水回りの横尾」。こんな異名を持つのがKis-My-Ft2の横尾渉だ。水回り、つまり料理上手が評判になり、そう呼ばれるようになった。ジャニーズ史上類を見ない、ユニークなネーミングと言っても過言ではない。

 最近では、それが個人の活動にもつながっている。『プレバト!!』(TBSテレビ系)などに出演し、母親が料理するのをそばで見て身につけたという腕前を如何なく発揮し、プロの料理人にも絶賛されているのを目にするようになった。

 その才能が広く知られるようになったきっかけは、グループの冠番組『キスマイBUSAIKU!?』(フジテレビ系)の定番企画「料理対決」だった。

 毎回各メンバーが、デートや職場などのさまざまなシチュエーションでの「カッコよさ」を一般女性視聴者の投票によるランキング形式で競い合うこの番組、横尾を含むユニット「舞祭組」のメンバーは、なかなか上位に食い込めなかった。そうしたなか、横尾が「仕事で疲れて帰ってきた彼女への夜食」などの料理対決でことごとく1位を獲得、“下剋上”を果たしたのである。

 そんなこともあって、いまでは立場も逆転し、料理対決では誰が横尾を倒すかが最大の見どころになっている。先日の6月6日放送回の料理対決でも、特別参加した俳優・斎藤工と最後どちらが1位か決定の瞬間が、番組のクライマックスになっていた。

 このようにジャニーズの番組で料理がメインになるようなことは、1980年代くらいまでなかったように思う。その流れを変えたのはやはり、『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)の「BISTRO SMAP」である。改めて考えると、歌とダンス、コントと並んで料理が番組の柱になるというのは画期的なことだった。

 「BISTRO SMAP」のメインは、料理のリクエストに応えゲストをもてなすことである。好みの料理はゲストの話をスムーズに引き出すうえでも重要だ。だがそれに加えて、料理するSMAPの姿も見どころになった。シェフのスタイルに身を包み、2チームに分かれて本格的な料理を手際よくつくるその姿には、歌番組やドラマなどとはまた違う表情を見ることのできる楽しさがある。

 こうして料理は、ジャニーズが「カッコよさ」を表現するレパートリーのひとつに加わった。『キスマイBUSAIKU!?』の料理対決もその流れを汲むものだ。

 また、嵐の松本潤が『嵐にしやがれ』(日本テレビ系)の企画「THIS IS MJ」の「カッコいい男対決」での料理対決もそうだろう。この企画では、やはり料理の腕が評判のKAT-TUN・亀梨和也との料理対決もあった。さらにNEWSの加藤シゲアキも、週4日自炊する“自炊ジャニーズ”として、『白熱ライブ ビビット』(TBSテレビ系)などでその腕前やこだわりを披露している。

 また、同じ料理でも、一味違った路線で存在感を示してきたのがTOKIOだ。

 元々松岡昌宏などは料理上手で知られているが、『ザ!鉄腕!DASH!!』(日本テレビ系)の「DASH村」や「DASH 0円食堂」では、食材をTOKIOのメンバーが自分たちで調達し、料理する。特に「DASH村」などでは、食材となる作物の栽培からTOKIOのメンバーたちが携わる。醤油など調味料も自分たちでつくるなど、料理は自給自足生活の一環になっている。そうした手作り感が、大きな魅力だ。

 同時にそこでは、仲間同士がワイワイやる楽しさやまったり感も醸し出される。それもまた、料理という共同作業ならではの魅力だ。同じTOKIOの国分太一がプロの料理家とともに料理をつくって食べる『男子ごはん』(テレビ東京系)も、日曜の午前という放送時間もあり、そんな楽しさやまったり感が味わえる番組だ。

手作り感という意味では、V6・長野博が出演する『晴れ、ときどきファーム!』(NHK BSプレミアム)も忘れるわけにはいかない。長野が女優の滝沢沙織、芸人の森三中・村上知子とともに古民家と畑を借りて野菜を無農薬で有機栽培し、それを食材にした料理をつくる。調理師、野菜ソムリエの資格を持つ長野の食に対する造詣の深さが発揮される番組だ。

 また「料理男子」的ジャニーズの活躍の場は、主婦層が見るようなお昼頃の情報番組にも広がっている。

『ヒルナンデス!』(日本テレビ系)のHey! Say! JUMP・八乙女光もそうだが、ここでの代表格はV6・坂本昌行だろう。『ノンストップ!』(フジテレビ系)で毎週金曜に放送されている「One Dish」は、開始から4年以上続き、すっかり長寿コーナーになった。

このコーナーでは、坂本がスタジオで料理するだけでなく、その回のメニューを決めるために自ら街の商店街へとロケに出かけ、食材を買うパートが前半にある。実家が八百屋という坂本が食材についての知識を披露したり、商店の人々となごやかに会話を交わしたりしながら街歩きをする。

そうしたところからは、「カッコよさ」だけではない「優しさ」が伝わってくる。買い物をしながらメニューを考え、夕食の献立や酒の肴になるような料理をつくる。まさに主婦の日常の仕事、時には面倒に感じるかもしれないようなことを坂本がさらっと代わりにやってくれるかのような、そんなコーナー構成の妙が感じられる。

 時代とともに、ジャニーズに求められる魅力も変わってくる部分がある。

 男性アイドルが恋愛感情を掻き立てるような憧れの存在、王子様的存在であることを求められる点は、昔から変わらない。ジャニーズは、ずっとその象徴であり続けている。

 その一方で、現在のアイドルは、ますます身近な存在、親しみを感じる存在であることを求められるようにもなっている。それはジャニーズも例外ではない。そのなかで、キッチンに立つ男子というような、男らしさの固定観念にとらわれないジェンダーレスな魅力もひとつの要素として加わってきた感がある。

 料理はその両方のニーズを満たしてくれる。プロも顔負けの鮮やかな腕前で豪華な料理をつくって「カッコよさ」を感じさせることもできれば、疲れた恋人がほっとするような料理をさりげなくつくって「優しさ」を伝えることもできる。しかもそうした魅力が、わざとらしくなく自然ににじみ出るところが料理の持つ良さだろう。「料理男子」的ジャニーズの増加は、そうしたファンのニーズの多様化の反映ではなかろうか。

 料理番組というジャンル自体も、お堅い料理番組のはずの『きょうの料理』(NHK)で平野レミが奇想天外なレシピや調理法を披露して話題になるなど、最近はエンタメ化がいっそう進んでいる。その流れのなかで、ジャニーズにとっても料理はこれからさらに面白い展開が望める分野になりそうだ。

太田省一

最終更新:6/21(火) 7:00

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