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秒の定義が変わる? 原子時計より正確な「光格子時計」実用化への道

ライフハッカー[日本版] 6/21(火) 20:10配信

Popular Science:「いま何時?」って、正確にはどのように決まっているのかご存じでしょうか。時間という抽象概念を測る主な基準となっているのは、世界各地に設置されている約500個の原子時計です。これらは誤差がおおよそ10-14秒前後で、20世紀後半から計時の基準として使われてきました。原子時計は原子の振動を測定して時間の長さを決めるもので、その仕組みはこちら(英文記事)で詳しく説明されています。

けれど、原子時計が最強という時代は、間もなく終わりを告げるかもしれません。ドイツの研究チームがこのほど、「光格子時計」を使って比類のない精度で時間を計測する、新しい方法を発表しました。この研究の成果は米国光学会(OSA)の学術誌『Optica』に掲載されています。


どんな時計も、一定の間隔で規則正しく繰り返される事象を数え上げることで、時間を計測しています。昔ながらの柱時計では、振り子の往復がこれに当たります。現在、GPSナビや通信システムや送電網や金融ネットワークが頼っている国際的な計時ネットワークには、マイクロ波を利用した原子時計が使われていますが、これはセシウム原子の振動を基準としています。セシウム原子は、電磁波のスペクトルのうち、マイクロ波の帯域にある特定の周波数で「励起」します。セシウムが励起するマイクロ波の信号のサイクルを9,191,631,770回繰り返した長さが1秒であると、国際単位系(SI)では定められています。

今回の研究で扱っている光格子時計も、マイクロ波による原子時計と同じような仕組みなのですが、この時計が計測の対象とする原子やイオンは、セシウムの10万倍もの周波数で振動しています。電磁波のスペクトルでは、この周波数帯は可視光線の領域に当たります。名前に「光」がついているのはそのためです。光格子時計が、原子時計よりずっと正確に時間を測れるのは、振動の回数が多いぶん、同じ長さの時間をより細かく刻めるからです。原子時計を正確さで大きく上回る光格子時計は以前から作られていたのですが、1回の計測から次の計測までに長いダウンタイムが生じてしまうため、実用に耐えるとは言えませんでした。

ドイツ物理技術研究所(PTB)の研究チームは、この問題を回避するため、光格子時計に「メーザー」という別の装置を組み合わせて使うことにしました。これはレーザー装置のようなものですが、マイクロ波の帯域を扱えます。このメーザーのマイクロ波は、「周波数コム」(コムは「櫛」の意)と呼ばれる特別な装置を使えば、光格子時計の「刻み」の速さに対応できます。光格子時計のダウンタイムの間は、メーザーが振り子のように時を刻み続けるのです。

チームを率いるChristian Grebing氏はプレスリリースの中で、「光格子時計のダウンタイム中も、メーザーは単独で安定して動き続けた」と書いています。

これは画期的なことですが、光格子時計を既存のインフラに実際に組み込むには、秒の定義を書き換える必要が生じるので(これは比喩ではなく、文字通りの意味です)、今すぐというわけにはいきません。それでも、Grebing氏のチームの光格子時計は、周波数を現状の秒の定義と比べたところ、これまでに実現したどんな時計よりも不確実性が低いということが確認されています。この時計は140億年のあいだ動かし続けたとしても誤差が100秒しか生じないそうですが、140億年といったら、宇宙の誕生から現在までの長さとほぼ同じです。

「現在の光格子時計にはダウンタイムがつきものだが、それでも計時の精度を上げられることが証明できた」とGrebing氏は語りました。


A New Type Of Clock Could Change How We Measure Time | Popular Science
Grennan Milliken(訳:江藤千夏/ガリレオ)
Photo by mundospropios/Flickr (CC BY-NC-SA 2.0).

最終更新:6/21(火) 20:10

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