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【今日の誕生日EUROレジェンド編】6月21日/全試合決勝点! これぞまさに“独り舞台”――プラティニ

SOCCER DIGEST Web 6/21(火) 19:47配信

セリエAで鍛え上げられ、最高の状態で臨んだ母国での檜舞台。

◇ミシェル・プラティニ:1955年6月21日生まれ フランス・ジェフ出身

 プラティニがEUROに出場したのは、母国フランスで開催された84年大会のみ。その一度の檜舞台で、彼は9ゴールを挙げて、母国に初のメジャータイトルをもたらした。
 
 出場5試合全てで得点。デンマークとの開幕戦(1-0)で1点、ベルギー戦(5-0)とユーゴスラビア戦(3-2)でいずれもハットトリック、準決勝ポルトガル戦(3-2)で1点、そしてスペインとの決勝戦で1点という内訳だ。
 
 ゴールの挙げ方もバリエーション豊富で、流れのなかでの右足(利き足)でのものが2点、左足が2点、ヘディングが2点(1点は鮮やかなで技巧的なダイビングヘッド)、直接FKが2点、そしてPKが1点と、ストライカーとしての高い資質を示した。
 
 全試合で決勝点を挙げるという、過去のメジャーイベントで前例のない大偉業。ちなみに1大会で記録したこの9ゴールは、現在に至るまで大会の通算最多得点である。
 
 これほどまでに、ひとりの選手が突出した大会は、他にはあるまい。まさに、“おいしい”ところをプラティニが全て持っていった格好だ。もちろん、その状況を作り出したのもプラティニ自身だ。
 
「攻撃的で魅力的なサッカーを好む名将(ミシェル・イダルゴ)が手塩にかけて育て上げた、タレント揃いのチーム」(プラティニ談)は、70年代後半からの長いチーム作りによって熟成された芳醇な高級ワインのようであり、この時が最高の“飲み頃”だった。
 
 プラティニ、アラン・ジレス、ジャン・ティガナ、ルイ・フェルナンデスで構成された中盤は世界一のレベルを誇り、軽やかにパスを繋いでゴールに迫る様は、さながら極上のシャンパンのようだと表現されたものである。
 
 当時のプラティニは全てを可能にする選手だったが、彼をそこまで引き上げたのは、1982年スペイン・ワールドカップ以後の、イタリア・セリエAでのプレーだった。ユベントスに加入した彼は、カルチョの激しい当たりと最新鋭の戦術を経験し、ただの巧い選手から脱皮した。
 
 EURO84までに、2シーズン連続でセリエA得点王に輝き、前年にバロンドールも受賞するなど、格段の進歩を遂げたプラティニは、フランスのキープレーヤーという枠を超えて、ピッチ上の監督としてチームメイトを自在に操った。
 
 EURO84は自国開催という特別な舞台だったが、彼にはまた、それとは異なる特別な思いがあった。2年前、準決勝でW杯史上初のPK戦で西ドイツ(当時)に敗北を喫したことを、プラティニは忘れていなかった。
 
 究極の戦いと表現されたこの一戦で、悔しさ、悲しみ、失望などとともに、陶酔感も得たというプラティニは、準決勝以降での西ドイツとの再戦を望み、もし実現すれば「ボールを全て蹴り出してPK戦に持ち込んでやる!」と息巻いていたという。
 
 しかし、敵はグループリーグであえなく敗れ去り、準決勝で彼を待っていたのはポルトガルだった。この試合、フランスは延長戦でリードを許し、その後、追いついたものの、2-2のままPK戦を迎えようとしていた。
 
 西ドイツに対してはPK戦を望んだ彼も、実際のところは「PK戦に持ち込まれたらまずい」と試合中にチームメイトと語り合ったという。そして延長後半の終了1分前、フランスは劇的な決勝ゴールを挙げた。スコアラーはもちろん、プラティニだった。
 
 スペインとの決勝では、直接FKを相手GKミゲル・アルコナーダがキャッチし切れず、こぼれたボールがゴールラインを越えるという幸運なかたちで先制点をゲット。開幕戦でも「引き分けだと思った」矢先に、絶好のこぼれ球が目前に転がるなど、ツキにも恵まれた。
 
 2-0で勝利し、パルク・デ・プランスを埋めた母国の大観衆を前に、アンリ・ドロネー・カップを掲げたプラティニ。“将軍”はこの瞬間、フランスの歴史的偉人となった。
 
 あれから32年。当時の喜びの記憶は消えないままだが、現在のプラティニにとっては「あの優勝が、その後のフランスの栄光(98年W杯優勝、EURO2000優勝)に少なからず貢献を果たした」ことも誇りとなっている。
 
 スキャンダルに巻き込まれ、UEFA会長として勝者にトロフィーを授ける栄誉は剥奪されたが、2度目の自国開催のEUROに臨む「レ・ブルー」が、自身と同じ喜びと名誉を手に入れることを今日で61歳となったプラティニが望んでいるのは間違いない。

最終更新:6/21(火) 19:54

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