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人工知能を活用し始めたヘッジファンド

HARBOR BUSINESS Online 6/21(火) 16:10配信

 HFR(Hedge Fund Research, Inc.)とは、シカゴに本社を置く、1993年に設立された米国最大手のヘッジファンド・データおよびファンド・インデックスの提供会社で、世界のヘッジファンド・データの収集を行って、ヘッジファンド運用に関する複数のインデックスを公表している。「HFRXグローバル・ヘッジファンド・インデックス」は、HFRが作成・公表する、ヘッジファンドの代表的なグローバル指数で、日々算出されている。

「HFRXグローバル・ヘッジファンド・インデックス」のパフォーマンスは、2016年6月15日時点で、年初から-1.02%、過去1年-6.99%、過去3年-1.08%と、さえない成績となっている。米国株の代表的な指標であるS&P500のパフォーマンスは、6月16日時点で、年初から+1.67%、過去1年-0.87%、過去3年+8.50%であるので、ヘッジファンドはパッシブな運用指数に劣るという結果である。

 6月16日のHFRが発表したデータによると、1-3月に運用開始したファンドは206本で清算したファンドが291と、2四半期連続で閉鎖が設定を上回った。手数料の高さにも注目が集まり、1-3月に差し引きで150億ドルが業界から引き揚げられた。これは金融危機以来の大きさ。2兆9000億ドル(約302兆円)規模のヘッジファンド業界は、相場変動が激しい中で顧客資金を守ることができていないため、機関投資家らの顧客から批判を浴びている。(参照:ブルームバーグ)

◆ヘッジファンドは人工知能を活用するのがトレンド

 この通り、ヘッジファンドだからといって必ず運用成績がよいとは言えない。レバレッジをかけて、戦略にしたがって運用するわけであるから、戦略が当たればレバレッジをかけた分、リターンは大きいが、当たらなければ、レバレッジをかけた分、損失も大きい。リターンを大きくするためにレバレッジをかけるわけであるが、別の言い方をすれば、レバレッジをかけなければならないほど「素の」リターンは高くはないのだろう。

 ヘッジファンドの運用スタイルは、一種の「賭け」と言ってよい。一方、S&P500に連動するETFなどを保有するパッシブな運用スタイルは「賭け」ではない。「賭け」だから、勝ったり、負けたりするのだろう。

 こうした中、ヘッジファンド業界は人工知能を活用するのがトレンドとなってきている。米経済誌「フォーブス」の2015年のヘッジファンド報酬額ランキングでは、上位10人のうち5人が人工知能を活用していると言われている。

 ニュースの見出し、ネット上の書き込み、人工衛星で撮影したスーパー駐車場の写真、店内の監視カメラのデータ、エルニーニョ現象、漁獲高、出生率といった経済に絡むあらゆるデータを使って、人工知能による運用が始まっている。(参照:日経新聞)

◆ブリッジウォーターも人工知能の取り組みを開始

 ヘッジファンドの運用金額において、世界断トツNo.1は、CEOのレイ・ダリオ氏が率いる米ブリッジウオーター・アソシエーツである。2015年末の運用金額は、約1700億ドルというこのブリッジウオーターも人工知能の取り組みを開始している。ただし、人工知能の詳細は不明である。

 3月10日、ブリッジウォーターでは、アップルでiPodを立ち上げ、Palmの会長も務めたジョン・ルービンスタイン共同最高経営責任者(CEO)の就任を発表した。また、マイクロソフトで最高研究戦略責任者を務めたクレイグ・マンディがダリオと並ぶ共同会長に就任することも明らかにした。同社はこれまでにも、IBMで人工知能「ワトソン」の開発チームを率いたデービッド・フェルッチを採用している。

 ブリッジウォーター以外のヘッジファンドも人工知能を運用に取り入れようとする動きが見られる。投資分野における人工知能は今後大きく発展していくことが予想される分野であり、ヘッジファンドについても人工知能の採用が運用パフォーマンスを本当に向上させるかもしれない。将来が楽しみである。<文/丹羽 唯一朗>

ハーバー・ビジネス・オンライン

最終更新:6/21(火) 16:10

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