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“濡れ手で粟”で三菱自動車を手に入れた日産・ゴーンの豪腕――号外[闇株新聞]

HARBOR BUSINESS Online 6/22(水) 9:10配信

消費増税の先送りが決定し、日経平均は急上昇。一方で、海外に目を向ければアメリカの利上げに大統領選、パナマ文書問題と注目材料が目白押し。’16年後半の日本経済への影響はどれほどのものか? 闇株新聞氏が重大ニュースを読み解く

◆燃費データ不正の三菱自を日産が「粉飾」を超えた完全な捏造

 オリンパス事件、東芝の不正会計問題に続いて、今年も新たな経済事件が明るみに出ました。三菱自動車の燃費データ改ざんです。スズキにも同様の不正が発覚しましたが、ここでは三菱自に絞って話をします。当初、不正の対象となったのは、’11年に三菱自と日産自動車が設立した合弁会社「NMKV(日産・三菱・軽・ヴィークル)」で開発された軽自動車「デイズ」「デイズルークス」を含む4車種とされました。しかし、日を追うごとに新たな問題が浮上。ついには、ほとんどの車種で不正が行われていたことが明らかになりました。燃費に影響するタイヤと路面の摩擦などの走行抵抗のデータに手を加えたほか、国が定める方法と異なる測定方法を採用し、最大で15%も燃費性能を水増ししていました。「eKワゴン」「eKスペース」に至っては、過去のデータを基に机上の計算だけで数値を弾き出していた。これは「粉飾」を超えた完全な捏造です。

 当然、対象車種は販売停止。莫大な賠償・補償費用が発生することは必至で、自力再建は誰から見ても不可能でした。そんな火中の栗を拾ったのは、ご存じのとおり日産であり、実質的に同社の経営権を握るフランス政府とルノーとカルロス・ゴーンです。私は、燃費不正以上に、この日産による買収に大きな危機感を抱いています。

◆三菱自とシャープに共通する偽装と買収

 ’99年に日産を傘下に入れたルノーが、どれだけ日産を食い物にしてきたか。ルノーはロシア最大の自動車メーカーであるアフトバスの買収や、モロッコのタンジール工場建設など、日産に何のメリットもない投資に日産の資金を利用しています。今回の三菱自の買収に際して、日産は議決権の34%を確保するために2373億円を出資することを明らかにしていますが、これも日産ないしはルノーで行うべき設備投資の資金を三菱自に払い込むだけと考えるべき。その出資金で三菱自に設備投資をさせれば、新たな資金負担なしに三菱自の株式が資産として加わるからです。まさに濡れ手で粟。

 この構図は、シャープと酷似しています。シャープは’12年から’16年までの5年間で1兆3880億円というとてつもない累計赤字を計上しています。債務超過に陥ることが明らかになり、今年2月に台湾の鴻海精密工業に対して総額4890億円の第三者割当増資と優先株の発行で議決権の66%を売り渡すことが“決まりかけ”ました。しかし、直前になって3500億円規模の「偶発債務」があることを打ち明けます。言葉を濁していますが、実質的な“隠れ債務”であり、不正会計が紛れ込んでいると考えられます。だからこそ、鴻海の郭会長は粉飾決算となる部分を最大1000億円と見積もり、予定していた資本注入を1000億円減額したわけです。

 こうなると、シャープはなすすべなし。まだ1円も受け取っていないのにもかかわらず、6月の定時株主総会で選任される9人の取締役のうち、社長を含む6人が鴻海から送り込まれることが決定しました。当初、郭会長は「リストラはしない」と言っていたにもかかわらず、3000人規模の人員整理を行う方針です。鴻海の払込価格1株=88円に対して、直近のシャープの株価は150円前後ですから、巨額の含み益が発生するのも明らか。鴻海は事実上リスクゼロでシャープとその資産を手中に収めたのです。

 日本で培われた資産が、このように次々とタダ同然で海外に売り飛ばされていいのか。今一度、考えるべきです。

【闇株新聞】

’10年に創刊。大手証券で企業再生などに携わった経験を生かして記事をアップし続けるWebメディア。金融関係者などか注目を集める

― 号外[闇株新聞]2016年日本経済の後半を読み解く重大ニュース ―

ハーバー・ビジネス・オンライン

最終更新:6/22(水) 9:10

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