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ホークス上林、長い不調のトンネルを抜けて――憧れの“イチロー”を目指し進化を誓う

ベースボールチャンネル 6/23(木) 6:50配信

開幕一軍ならず、待っていたのは長きトンネル

「早く一軍に上がりたいけど、今のままじゃしっかりやれる自信がない。ちゃんとこっち(二軍)で結果を出して、形を作って上に行きたい」

 3月末のウエスタンリーグの阪神戦後、こんな意外な発言をしたのは、プロ3年目の上林誠知だ。
 去年、“プロ初本塁打が逆転満塁弾”という鮮烈なデビューを飾り、その一打から、一気に注目を集めた。

 春季キャンプの頃にはイキの良い若手として開幕一軍が期待され、昨季はほとんどなかったという取材の数も急上昇。本人も、注目されていることを自覚していた。
 そんな上林の今季の目標は、もちろん“開幕一軍”だった。

 しかし、それとは裏腹に長いトンネルの幕開けとなった。
 春季キャンプで初のA組スタートも、オープン戦では16打数2安打。開幕一軍を期待される中で結果を出せず、開幕を前に二軍行きとなった。

 藤井康雄打撃コーチは「上林は状態も悪くはない。ただ、このチームでやっていくには走攻守全てをもっと底上げしないといけない。チームに信頼してもらえるようにならないと」と期待の若手にさらなる成長を求めた。

 一軍へのアピールと自らのレベルアップに燃える中、上林に待っていたのは、これまでの野球人生でも1、2位を争う不調だった。

 プロ注目打者として期待された高校(仙台育英)最後の夏は、甲子園で9打数1安打。不本意な結果に悔しさを滲ませていたが、今回の不調はその時以来だという。

 昨季、ウエスタンリーグで首位打者と盗塁王に輝いた上林は、今季厳しいマークもあって、7試合連続ノーヒット。あまりにも結果が出ず、試合後、意外な一面を目の当たりにした。

「くそったれー!まじで!」
“寡黙でポーカーフェイス”を理想とする21歳が、取り乱したのだ。

憧れの選手に感化されて

 高校時代からプレーでの喜怒哀楽はあまり表に出さないようにしていたという上林。
「ホームラン打った時はさすがに喜べよって思われるんで」と、高校2年秋の神宮大会で満塁弾を放った際に見せた笑顔を指摘すると、そう表情を緩め、20歳らしさもにじませた。「でも、やっぱりイメージは崩したくないっすね(笑)」と自らの描く野球選手像に強いこだわりを持っていた。

 そんなポーカーフェイスを掲げる上林が、人前で感情を露わにしたのだ。そして、しばらく悔しさを露骨に表す日々が続いた。

「しっくりこない」と新たなフォームを模索する日々。試合前も後も、ひたすらバットを振り続けた。夜、自分の部屋の鏡の前でも、バッティングの構えをしていた。四六時中、頭の中は“打つこと”ばかり……。

 長いトンネルにようやく光が射したのは4月1日、ウエスタンリーグ・オリックス戦だった。第2打席、ボテボテの内野安打だったが、30打席ぶりにやっと“結果”が出た。
 第4打席では、3ラン本塁打を放った。

 結果が出たことに一安心しつつも、「まだまだっす」と繰り返す。「まだ握りがしっくりこないから、打席でいろいろ試している。もう少しで完成しそう。取り戻せそう……」
 絶不調は抜け出したものの、結果にはまだ波があった。4月中には固めたいと考えていたフォームも、なかなか完成形にはたどり着かない。

 なぜ新たなフォームを模索するのか。これまでのフォームではだめなのか?
 脳裏に浮かぶのは、上林が憧れている選手、イチロー(マーリンズ)の存在だ。

「イチローさんだって、毎年変わってるんで」

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最終更新:6/23(木) 6:50

ベースボールチャンネル

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