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合併してわかる「日本企業は今でも共同体」 (塚崎公義 大学教授)

シェアーズカフェ・オンライン 6/23(木) 5:29配信

就職活動中の学生に、日本的経営について考えてもらうための文章を記しました。若手サラリーマンにもお読みいただければ幸いです。

■日本企業は従業員の共同体
「株式会社は、株主が利益を上げるために作った組織であるから、当然に株主のものである」というのが理屈である。しかし、日本の大企業は「従業員主権」と呼ばれるように、従業員が会社の最重要プレーヤーとなっている。社長等は従業員の出世競争に勝ち残った「従業員の代表」であり、従業員のために会社を経営する、という意識が強いのである。

日本の大企業の経営者の多くは、「最も重要なことは従業員の雇用を守ることである」と考えている。不況で仕事が減った時には、従業員を首にして企業の利益を守るのが株主の利益であるが、日本企業の経営者はそうは考えないのである。

そもそも株主総会での社長の挨拶が、理屈に合っていない。「弊社の利益は、おかげさまで・・・」というのが普通であるが、会社は株主のものであるのだから、理屈上は「私が経営を任せていただいております皆様の会社は、・・・」というべきなのである。つまり、形式と実態、建前と本音が大きく乖離しているのである。

そうした乖離を可能としていた一因は、「株式の持ち合い」にあった。仲の良い企業が相互の株式を保有し、「御互いの経営には口を出さないし、配当も要求しない」と約束していたのである。

従業員の方も、「会社は家族」と考えており、会社は共同体だから会社の発展のために皆が力を合わせて頑張ろう、という仲間意識を持っている。小学校の運動会で「紅組頑張れ」と皆で心を一つにしているのと似ているのである。

■近年は「株主主権」が叫ばれているが・・・
近年は、会社は株主の物であるという形式に実態を近づけるべきだ、という人が増えてきた。そして、企業経営者が、次第に株主を意識するようになりつつある事も事実である。たとえば、かつては企業が儲かったら従業員の賃上げをしたものであるが、最近では儲かっても賃上げをせずに株主への配当を増額する企業が多くなっている。

そうした動きの発端は、一時期流行った「グローバル・スタンダード」という考え方であった。米国的なやりかたが世界標準であるから、日本もそれを真似るべきだ、ということである。これは、1990年代に米国経済が好調で日本経済が不調だった頃、「米国のやり方を真似すれば上手くいくだろう」と考えた人が多かったことで広まったのである。

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最終更新:6/23(木) 5:29

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