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日本の接続水域と領海を航行した中国海軍の狙い

JBpress 6/23(木) 6:15配信

 6月8日から9日にかけて、中国海軍フリゲートが尖閣諸島周辺の日本接続水域内を航行した。そして引き続き15日には、中国海軍情報収集艦(スパイ艦)が口永良部島周辺の日本領海内を航行し、翌日16日には同艦が北大東島周辺の日本接続水域内を航行した。

日本領海を航行した中国海軍東調級電子偵察船(写真)

■ 統幕長の声明の数日後にスパイ艦が領海に

 日本政府は、1回目の事案に関しては外務次官が夜中に駐日中国大使を呼びつけて厳重な抗議を行ったが、2回目と3回目の事案に対してはアジア大洋州局長が駐日中国公使に懸念を伝達するにとどめた。

 また、1回目の事案を受けて自衛隊のトップである統幕長は(接続水域内航行よりも日本にとってさらに深刻な脅威である)領海内航行といった事態が生じた場合には、中国艦艇に対して断固たる姿勢で対処すると明言した。この統幕長の声明は、「海上警備行動」の発令を防衛大臣に求め海自艦艇や航空機を出動させて中国艦の日本領海内航行を妨害することを意味する。

 しかしながら、このような声明を発した数日後に、中国海軍スパイ艦が実際に日本領海内を航行する事態が生じた。その際、「海上警備行動」は発令されなかったし、海自艦艇や航空機が中国海軍スパイ艦の日本領海内航行を妨げようとする試みもなされなかった。

  (* 配信先のサイトでこの記事をお読みの方はこちらで中国海軍スパイ艦の写真をご覧いただけます。http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47149)

■ “虎の威”ではなくなりつつある米海軍

 中国海軍スパイ艦が日本領海内を航行する前日の14日、防衛大臣はアメリカ太平洋艦隊のスコット・スウィフト司令官と東京で会談し、東シナ海での活動を活発化させる気配を示している中国海軍艦艇に対して、日米の連携を強化することを確認し合ったばかりであった。

 もっとも、スウィフト司令官にとっての「日米連携」とは、「日米共同訓練などをさらに充実させることによって、日米両海軍の連携を強化させ、その結果として中国海軍に対処していこう」といった米軍側の基本姿勢を意味していた。それに対して日本側は、「アメリカ軍という“虎の威”を借りて中国海軍の動きを抑止しよう」といったこれまで通りの期待を込めての「日米連携」であったようである。

 しかしながら、南シナ海や東シナ海をもはや“ホームグラウンド”としつつある中国海軍にとって、アメリカ海軍はもはや“虎の威”とは映っていない。

 アメリカ太平洋艦隊は、中国海軍を“脅かす”目的を持って空母2隻を中心とする強力な艦隊をフィリピン海に展開させていた。それにもかかわらず、中谷防衛大臣とアジア太平洋海域を統括するスウィフト司令官の会談の直後に、中国海軍のスパイ艦が日本の領海内を航行した。そのスパイ艦は、明らかに日本・アメリカ・インド海軍により実施されていた合同訓練の情報収集に従事していた。

■ 中国政府を正面切って批判できないアメリカ

 日本のみならずアメリカまでもが中国海軍に“なめられた”形となってしまったわけだが、アメリカは中国海軍の日本接続水域内航行や領海内航行に対しては、日本政府の肩を持って中国海軍や中国政府を正面切って批判できないジレンマに直面している。

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最終更新:6/23(木) 6:15

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