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ついに、リーマンゼータの零点を見る

JBpress 6/23(木) 6:00配信

■ オイラーゼータからリーマンゼータへ

 1859年、リーマンが「素数の個数」を考察することが主題であることを前回紹介しました。

 いよいよ、難攻不落──リーマン予想のど真ん中に進んでいきます。

 リーマンが素数研究のために用いた道具がゼータ関数です。オイラーによって発見されたゼータ関数(オイラーゼータ)はそのままではだめであることにリーマンは気づき、それを発展させることにしました。それが次の結果です。

 (1) ゼータ関数ζ(s)は全複素数平面に解析接続される。
(2) ゼータ関数ζ(s)は関数等式を満たす。

 解析接続とは簡単にいえば、実数を定義域とする関数を複素数に対しても定義できるようにする手法のことです。

 たとえば、実数で定義された指数関数xn
を複素数zでも成り立つ関数zn
に解析接続したものはド・モアブルの定理です。zn
=(cosθ+i sinθ)n=cos(nθ)+isin(nθ) リーマンはオイラーでさえ覗くことができなかったゼータの新しい風景に到達することに成功しました。解析接続によって複素数平面に舞うゼータの姿を目の当たりにしたのです。

 それでは、いかにしてオイラーゼータが解析接続されるのか、その様子を見ていきます。

 図の最後の式が、すべての複素数sへと解析接続を与える式です。この解析接続された関数も再びζ(s)と書きます。

 それがリーマンのゼータ関数(リーマンゼータ)と呼ばれるものです。

 ある関数の解析接続法は1つとは限りません。どんな解析接続法でも同じ関数が出てくるというのが、解析接続の一意性の定理です。

 つまり、ある複素数sにおける値は解析接続法が異なっていても同じものになります。

 解析接続法が異なることは、複素数sに対する値の計算方法が異なることを意味します。

 もし、オイラーゼータについて、値が0になるところ(零点)がわかる“うまい”解析接続法が発見されたならば、リーマンをはじめとする数学者の苦労はなかったでしょう。それが見つからなかったのでみんな苦労しました。

 さて、解析接続を与える式で、s=1-m(mは自然数)のとき、積分項を消して簡単にすることができます。

ζ(s)=ζ(1-m)=-Bm
/m ここで、Bm
は連載「ゼータ関数を支える日本人数学者、関孝和」で紹介した関・ベルヌーイ数です。 ここで、mに3、5、7、・・・と奇数を代入すると、奇数に対してBm
=0なので、次が得られます。ζ(-2)=ζ(1-3)=-B3
/3=0
ζ(-4)=ζ(1-5)=-B5
/5=0
ζ(-6)=ζ(1-7)=-B7
/7=0 これより、s=-2、-4、-6、・・・(sが負の偶数)がリーマンゼータの「自明な(簡単な)零点」であることがわかります。

 では、リーマンゼータの「自明でない(難しい)零点」はいかに? 

 零点を探査するリーマンの格闘が始まります。

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最終更新:6/23(木) 14:50

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