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「え、この上司怒ってる?」。微表情がわかれば「次の一手」を間違えない

HARBOR BUSINESS Online 6/23(木) 16:20配信

◆ビジネスで活用する微表情学第4回

 みなさん、こんにちは。空気を読むを科学する研究所代表取締役の清水建二です。 本日は、怒り表情をテーマに誤解しやすい表情とその見分け方をご紹介したいと思います。

⇒【画像】微表情サンプル

 みなさんの身近で次のようなケースはございませんでしょうか?

 上司が同席している戦略会議の席で、Aさんが新商品の売り上げ戦略を説明していました。

A:~ということで、Web広告を中心に宣伝していこうと思っています。

上司:……。

A:え~、他にも案はございまして…小売店の店頭販売で手作り風の看板を……

上司:いや、ちょっと待って。さっきのWeb広告のことなんだけど。

A:はい、あれはもう少し練る必要があると感じていまして……

上司:いや、そうじゃなくて。

 Aさんの話を聞いているときの上司の気持ちは何でしょうか? またAさんはどうすればより良いコミュニケーションの流れをつくることができたでしょうか?

 最初に上司の気持ちについて説明します。最初のリアクションのときの上司の眉を見ると、眉が下がっているのがわかります。眉が下がるという動きは、多くの場合、怒りと理解される傾向がありますが、熟考中の場合もあります。次のリアクションでの上司の眉も下がっています。最初の表情と異なる点は、表情筋の関わるパーツが増えているところです。眉が下がるだけではなく、目が見開き、唇に力が入れられています。

◆上司は怒っているのか頭をフル回転させているのか?

 結論から言いますと、最初のセリフのときの上司は、熟考中の可能性が高く、次のセリフのときの上司は、怒りの可能性が高いと考えられます。

 それは、表情筋のコンビネーションの数と感情の強さとは正比例するという原則があるからです。

 怒り表情の典形は、「眉が下がる+目が見開く+唇に力が入る」というものです。この表情の特徴が揃えば揃うほど、怒り感情の強さが増す、ということです。上司の最初の表情は、「眉が下がる」だけでしたが、次の表情は、「眉が下がる+目が見開く+唇に力が入る」です。そこから前者の上司の気持ちは、弱い怒りか、熟考、後者の上司の気持ちは、怒り感情の可能性が高いと判断できます。

 しかし、厳密には上司の最初のリアクションが、弱い怒りなのか熟考なのかはわかりません。弱い怒りを感じると、怒り表情に関わる表情筋の一部のパーツのみーここでは、眉の引き下げーが発現するからです。この現象を微細表情と言います。微細表情とは、感情を抑制したとき、もしくは弱い感情を感じているときに、瞬間的にもしくは数秒間にわたって顔の一部に表れる限定的な表情筋の動きのことです。微表情とは異なり、瞬間的な動きとは限らないところがポイントです。話を戻しますと、こうした弱い怒りという可能性はあるものの、部下の説明にすぐにイライラする上司は稀でしょう(瞬間湯沸かし器のようにすぐに怒りを爆発させる上司もいないとは言いませんが…)。

◆「熟考顔」に気付いたらどうすればいい?

 まず「眉が下がる」という動きに対して、過剰に「相手が怒っている!」と反応しないことが大切です。

 このケースのように上司が怒っていると考えてしまうと焦ってしまい、説明がしどろもどろになってしまいます。実際、私が懇意にさせて頂いているある役員の方が、「部下の話を真剣に聞いているだけなのに、どうも部下に誤解を与えてしまっているようです。部下の発言を真剣に考えているだけなのですが。」とおっしゃっていました。部下の話を真剣に検討しているだけなのに、怖い上司だと部下の方に思われてしまうようなのです。

 そこで眉だけが下がる顔の動きに気付いたら、「あれ、今、私の話は理解されていないかも知れない」と考え、説明の仕方を変えてみましょう。

 例えば、具体例を挙げるなど説明をより丁寧にする、これまでの話しの要約をする、「ここまでで何かご不明な点はありますか」と質問する、話に間を置く、このような方法がオススメです。

 要は他者の熟考顔に対する処方箋として、「足踏み」するということです。

 説明や議論の進行中に、目の前の相手の眉が下がったら、相手は話を理解しきれていないと考え、話の進行をストップさせることが大切です。

 これは、今回のケースのようなプレゼンの場だけでなく、人に何かを説明するとき、例えば、セールス、交渉、部下指導のときや普段の何気ない会話でも応用できます。ちょっとした気遣いが出来るか否かが、コミュニケーションの帰結に大きな差となってくるのです。

※本画像の権利は、株式会社空気を読むを科学する研究所に帰属します。無断転載を禁じます。

<文/清水建二>

執筆者プロフィール

清水建二(しみずけんじ)

株式会社空気を読むを科学する研究所代表取締役

1982年、東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、東京大学大学院でコミュニケーション学を学ぶ。学際情報学修士。 日本国内にいる数少ない認定FACS(Facial Action Cording System:顔面動作符号化システム)コーダーの一人。微表情読解に関する各種資格も保持している。20歳のときに巻き込まれた狂言誘拐事件をきっかけにウソや人の心の中に関心を持つ。現在、日本ではまだ浸透していない微表情・表情の魅力、実用例を広めるべく企業コンサルタント、微表情商品開発、セミナー等の活動をしている。著書に『0.2秒 微表情を見抜く技術』飛鳥新社(2016年7月22日発売予定)がある。

ハーバー・ビジネス・オンライン

最終更新:6/23(木) 16:20

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