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ベテラン井口も実感する、千葉ロッテの変化――ベンチから響く声が、逆転の雰囲気を作り出す

ベースボールチャンネル 6/24(金) 16:30配信

ベテランが感じる手ごたえ

 ペナントレースからの勢いをそのままにソフトバンクが2年連続の最高勝率で交流戦を終えた。

 今季の戦いぶりで印象に残ったのは、セリーグの首位・広島とソフトバンクを追いかけるロッテの奮闘ぶりだ。特にロッテは、最終日の巨人戦に敗れるまで7連勝を挙げるなど、勝負強さを発揮していた。

 ロッテは交流戦前のペナントの節ではソフトバンクとの対戦で3連敗を喫したが、伊東勤監督は「交流戦の間は、パリーグのことは忘れて戦います。一戦一戦、先を観ずに大事に戦っていく」と断言、そしてその言葉通りの結果を残した。

 そのロッテの好調の要因の一つに挙げられるのがベンチの雰囲気である。
 若手、中堅、ベテランがわけ隔てなく声を出し、どんな展開でも明るい雰囲気を醸し出している。
 
 開幕の頃から続く昨年までにはない空気だ。

「伊東監督や立花コーチがよく言うんですけど、凡打してもベンチに帰ってきて、声を出せと。そういうのが浸透してきていて、試合に出ている選手も出ていない選手もよく声が出ている。そういう意味ですごく明るくなっていると思います」

 そう語ったのは、ベテランの井口資仁選手である。
 
 井口はスタメンの試合数が減ったとはいえ、経験豊富な頼れるチームのジョーカー的存在だ。外国人の不調、あるいはチームのレギュラーの不調の代役、ここ一番での代打と井口は今季も活躍している。

 しかし、その井口は、昨季から居座ることが多くなったベンチの雰囲気にただならぬ違和感を覚えていた。意識改革が必要と井口は昨オフ、こんな話をしている。

「今のチームは控え選手がベンチの後ろで休んでいたり、ベテランが端っこにいるようなところがある。それを変えないといけないと思ってやってきました。とにかく、試合中は僕がベンチの真ん中に座って声を出すように心がけました。自分が見本を示さなくてはいけないと」

侍JAPANの経験をチームに持ち帰った清田

 今のロッテは若い選手が多い。

 主将の鈴木大地はしっかりもののキャプテンだが、清水雅治コーチ曰く「大地以外は人任せな選手が多いチーム」というのが実情なのだ。自身のプレーに没頭するのはいいが、周りが見えない若さゆえの脆さもあったのだった。

「去年までは一部だけが声を出していて、他が声を出していないというのがありました。今年はベンチの端から端まで声を出している。自然と声が出ていますし、下を向いているやつがいれば『声出せよ』というのも出てきている」と井口は変化を感じている。

 とはいえ、井口の場合はそれを率先して口にしていくというタイプではない。
 むしろ、背中で感じろと姿勢で見せていくプレイヤーである。

 そこで、今季、違う姿勢を見せているのが清田育宏だ。
 昨季は、130試合に出場し、打率317、15本塁打をマーク。今年3月侍JAPANの台湾との親善試合では代表入りを果たすなどチームの中核にいるプレイヤーだ。今季はややスタートに苦しんでいるが、実は、ベンチでの貢献度はかなり大きい。「清田さんの存在が大きい」とキャプテンの鈴木だけでなく、若手の三木亮や中村奨吾などが口にしているほどだ。

 清田はあえて自分が前に出ることを意識しているとこう語る。

「チーム全体に若い選手が多いんで、その中で自分が声を出すことによって空気を作りたいと思っています。みんなが声を出しやすい空気を作っていければ、チーム全体が変わると考えるようになりました」

 清田がそんな思考を持つようになったのは、侍ジャパンでの経験だ。
 ある選手の姿勢に、清田は刺激を受けたのだ。

 その選手とはソフトバンクの松田宣浩選手である。

「侍JAPANでは2試合しかなかったんで、技術的にどうのこうのっていうのは分からないんですけど、誰がどうみても、すごいなと思えたのは松田さんでした。即興で作られたチームを一つにまとめるのって難しい作業だと思うんですよ。でも、松田さんがすごい声を出してくれて、やりやすい雰囲気を作ってくれた」

 特に、初代表だった(社会人では経験あり)清田にとっては、年齢的に上の方だということもあり、どういう立ち位置を保っていいのか分からなかった。やり難さを感じながらの代表参加だったのだが、それらすべてを松田が変えてくれたのだ。

「松田さんが常に元気を出してくれていました。『うるさいなぁ』と思って聞いている部分もあるんですけど(笑)、逆にそれがチームのムード、雰囲気を作ってくれていました。そういうのってすごいなと思って、これはチームに帰ってもやるべきだと思いました。僕が声を出すことによって、若手も声を出しやすくなるような雰囲気を作っていければと思ってやっていますね」

 声を出すという部分にだけフィーチャーすると、「根性論」にも聞こえなくない。ただ、雰囲気をいい方向に向けて、チームが一つになるというやり方は、日本人らしい組織の作り方でもあるだろう。

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最終更新:6/24(金) 16:30

ベースボールチャンネル